甘くてジューシーな夏の果物と言えば桃。犬に与えても問題なさそうな桃ですが、実はちょっとした注意点があるので気をつけなければなりません。
そこで今回は、そもそも犬は桃を食べても大丈夫なのか?アレルギーの心配はないのか?など、犬と桃の関係性を解説していきたいと思います。
目次
犬は桃を食べても大丈夫!子犬やシニア犬にも与えていいの?
まず結論から言うと、犬は桃を食べても問題ありません。バラ科の果物に対してアレルギーがなければ、基本的に子犬~シニア犬まですべての犬が桃を食べて大丈夫です。
ただし、犬が桃を食べれるのは種と芯を除いた果肉部分のみになります。他にも、犬に桃を与える際の注意点がいくつかあるので、次より詳しく解説していきましょう。
犬に桃を与える際に注意しておきたい4つのこと!
桃は犬も食べれる果物です。しかし何でもかんでも知識なしに与えるのは大変危険なので、桃を与える際に気をつけておきたい4つのことをまとめてみました。
バラ科の果物アレルギーがある場合は控える
桃はバラ科の果物です。バラ科の果物には、他にりんご、さくらんぼ、洋ナシ、梨、スモモ、アンズ、いちご、ウメ、ビワなどがありますね。
稀に、バラ科の果物に対してアレルギー反応を起こす犬がいます。これまで食べ物で何かしらアレルギーを発症したことがある場合は、念のため桃を与えるのは控えましょう。
もしもバラ科の果物に対してアレルギーがある場合は、下痢、嘔吐、湿疹、発疹、皮膚の赤み・かゆみ・腫れなどのアレルギー症状が出ます。様子がおかしいと感じた場合は、すぐにかかりつけの動物病院に相談するようにして下さい。
桃の種は与えない
桃の種には、犬にとって有害な成分「アミグダリン」が含まれています。
アミグダリンとは、バラ科サクラ属植物の未熟果実の種子に含まれる青酸配糖体のこと。犬のような動物がアミグダリンを体内に入れると、分解される時に青酸毒を発生させます。
アミグダリンについては、農林水産省の公式サイト内にある「ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう」を参考にしていただくのが一番間違いないかと思います。
ちなみに、桃の種1個につき約88mgの青酸カリが含れています。致死量は約60mg(遊離した青酸の状態で)と言われているので、桃の種を1個食べてしまったところで死に至ることはありません。
ただし、その時の健康状態や体質によっては中毒症状が出る場合もあるため注意しましょう。主な中毒症状には呼吸困難・痙攣・嘔吐・腹痛などがあります。
また、桃の種は犬の喉に詰まりやすい大きさです。喉に詰まって窒息、あるいは腸に詰まって腸閉塞を引き起こしてしまうこともあるため必ず取り除くようにして下さい。
与える量に気をつける
桃は水分と食物繊維が豊富です。量を加減して与えないと、消化不良や下痢・軟便を引き起こすこともあるので注意しましょう。
1日に与えていい量は、生の桃20g程度までです。水分もきちんと摂れていて、栄養のある総合栄養食を食べている場合は無理して桃を20gもあげる必要はありません。
桃の皮は与えない
桃の皮は食べてしまっても問題ありませんが、犬にとって消化されにくい部分です。胃腸への負担を軽減するためにも、必ず皮を剥いて果肉だけを与えるようにしましょう。
また、桃の種類によっては皮に農薬がついていることもあります。むやみにペロペロ舐めさせることも避けておきたいものです。
【桃の栄養素】犬にはメリットがあるの?
次に、桃の栄養素と犬にとってのメリットを紹介していきたいと思います。
栄養素については「五訂日本食品標準成分表」を参考にしています。すべて100gあたりで計算されています。
便秘気味の犬には嬉しいペクチンが豊富!
エネルギー | 40kcal | 灰分 | 0.4g |
水分 | 88.7g | 飽和脂肪酸 | - |
タンパク質 | 0.6g | 不飽和脂肪酸 | - |
脂質 | 0.1g | コレステロール | 0 |
炭水化物 | 10.2g | 食物繊維 | 1.3g |
桃には、水溶性の食物繊維ペクチンが豊富に含まれています。ペクチンには腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を排除する働きがあるため、便秘気味の犬には嬉しい栄養素です。
また整腸作用以外にも、血液中の毒素やコレステロールを取り除く働きもあります。
それと、桃にはカテキンも含まれています。カテキンは強い抗酸化作用があるほか、血糖値の上昇や脂質の吸収を抑える働きもあります。
ビタミンがバランスよく含まれている!
カロテン | 5μg | ビタミンB6 | 0.02mg |
ビタミンE | 0.7mg | 葉酸 | 5μg |
ビタミンB1 | 0.01mg | パントテン酸 | 0.13mg |
ビタミンB2 | 0.01mg | ビタミンC | 8mg |
ナイアシン | 0.6mg |
桃にはビタミン類がバランスよく含まれています。とりわけビタミンEの含有量は群を抜いており、りんご、いちご、柿などの果物よりも多く含まれているのが特徴です。
きちんと総合栄養食を食べていればビタミン不足になることはありませんが、手作り食が多い家庭はりんごをレシピに取り入れてみるのもいいでしょう。
筋肉の強化に欠かせないカリウムが含まれている!
ナトリウム | 1mg | マグネシウム | 7mg |
カリウム | 180mg | リン | 18mg |
カルシウム | 4mg | 鉄 | 0.1mg |
バナナやメロンほどではありませんが、桃にもカリウムが含まれています。
カリウムは摂取し過ぎると高カリウム血症を引き起こす恐れもあるため注意しなければなりませんが、適度に食べることで筋肉の強化や血流の改善が期待できます。
犬に桃の缶詰や桃ゼリーを与えても大丈夫?
果物の桃は、これまでお伝えした内容をきちんと守れば犬も食べられます。しかし、桃を加工した人間用の食品は飲ませない・食べさせないようにしましょう。
念のため、代表的な桃の加工品について解説していきたいと思います。
桃の缶詰
桃の缶詰は、どれだけ高品質のものであっても犬に与えるのは好ましくありません。なぜなら、砂糖などの甘味料がたっぷり使われているからです。
生の桃だけでも十分に糖分が含まれていますから、そこに缶詰の糖分をプラスして肥満や糖尿病の原因をつくる必要はありません。
桃ゼリー
桃ゼリーは犬に与えても問題ありませんが、与える時は水・ゼラチン・桃のみで作られたゼリーを与えるようにしましょう。
市販のゼリーには、人工添加物、糖類、時には洋酒などが使われていることもあります。犬にとっては好ましくない原材料ばかりなので、必ず犬用として作るようにして下さい。
桃ジュース
桃ジュースは、原材料が桃だけのジュース(桃100%のジュース)なら犬に与えても大丈夫です。少しでも糖類や香料が含まれているものは避けるようにしましょう。
ジュースは桃がギュッと凝縮されているため、与える時はガブ飲みをさせないよう注意が必要です。
犬は桃を食べてもOKですが、好きだからと言ってわざわざ毎日食べさせるべき果物でもありません。これが飼い主さんに心得ていただきたい、犬と桃の付き合い方です。
基本は、ちゃんと栄養のあるご飯を食べさせてあげることです。おやつや果物選びに集中するのもいいですが、まずはベースとなる食事をしっかり管理するようにしましょう。
その上で、夏バテや熱中症対策として桃をたまに食べさせるくらいに留めておくといいですね。桃が嫌いな犬に無理やり食べさせる必要もありません。