消化器官が未発達な子犬や消化機能が低下した老犬、あるいはドライフードをなかなか食べない犬などに、ふやかしたドッグフードはとても重宝するものです。
しかし、ドッグフードを正しくふやかすことができているでしょうか?間違ったやり方でふやかしている飼い主さんも少なくないため、今回はドッグフードの正しいふやかし方を画像付きでまとめてみました。
ドッグフードをふやかす際の注意点、そしてメリットやデメリットなども併せて解説していますので、ぜひ最後まで参考にしていただけたらと思います。
目次
【画像付きで解説】ドッグフードの正しいふやかし方!
ドッグフードのふやかし方の解説へ入る前に、まずはふやかす際の3つのポイントをサクッと見ておきましょう。
- 熱湯は使わない。
- 30~40℃のぬるま湯でふやかす。
- 1回に食べる分だけふやかす。
上記の3つのポイントさえきちんと押さえておけば、あとはフードの硬さや大きさ、内容に合わせてふやかす時間を調整するだけでOKです!
ただ、ふやかし方がよく分からないという飼い主さんのために、「ぬるま湯でふやかす方法」と「電子レンジを使ってふやかす方法」のやり方を画像付きで解説していきたいと思います。
ぬるま湯でドッグフードをふやかす方法
まずは、いつも通り1回分の量のドッグフードを器に盛ります。今回は、我が家でいつも愛犬に食べさせているモグワンを使ってふやかし方を紹介していきますね。
次に、30~40℃のぬるま湯をドッグフードがひたひたになるくらいまで注ぎます。(※ぬるま湯の量に決まりはありません。個人的にはひたひた位が丁度いいかなと思っています。)
ここで熱湯を注ぐと、熱に弱い栄養素(=水溶性の栄養素)が破壊されてしまう恐れがあります。フードの栄養素を守るためにも、必ず40℃以下のぬるま湯を使うようにしましょう。
ぬるま湯を注いだら10~15分ほど放置します。室温が低い場合は、ラップなどをすると冷めにくくなるので早くふやかすことができます。
ぬるま湯を注いでから5分経過
ぬるま湯を注いでから5分経った状態はこんな感じです。
水分をしっかり含み始めているのが分かりますね。
粒はまだまだ硬めです。指で潰せるほどふやけてはいませんが、外側がいい感じにふやけてればOKというのであれば5分放置くらいで丁度いいと思います。
ぬるま湯を注いでから10分経過
次に、ぬるま湯を注いでから10分後の状態です。
先ほどより、だいぶ水分を含んでいるのがよく分かりますね。
今度は、指で粒を押すと簡単に潰れるくらいになっています。ペースト状にしたい場合はもうちょっとふやかしが必要ですが、子犬くらいであればこれでも十分な柔らかさです。
ぬるま湯を注いでから15分経過
ぬるま湯を注いでから15分ほど置くと、モグワンの場合はこのような状態になります。
見た目は先ほどとあまり変わらないですが…
力を入れなくても指で簡単に潰せるほどになりました。ペースト状にしたい場合や、歯がなくて噛むことができない犬には、これくらいふやかしてあげた方が間違いないでしょう。
ただ、ドッグフードをふやかす時間に決まりはありません。愛犬の食べ方や健康状態に合わせて時間を調整し、時間を短縮したい場合は細かく砕いてからふやかすという方法もあります。
電子レンジを使ってドッグフードをふやかす方法
こちらも、いつも通り1回分の量のドッグフードを器に盛ります。この時に必ず耐熱容器を使用するようにして下さい。
次に、水をドッグフードがひたひたになるくらいまで注ぎます。ぬるま湯だと電子レンジの熱で熱湯になってしまうこともあるので、できれば水が望ましいですね。
そしたら今度は器に軽くラップをし、電子レンジに入れます。
温度や温める時間は使っている電子レンジによって異なりますが、我が家の電子レンジだと500Wで20秒が丁度でした。目安として参考にしてみて下さい。
いい感じに温まっています。以前、500Wで30秒温めたらちょっと熱くなってしまったので、やはり20秒くらいが丁度いいみたいです。
完全ではないですが、水分を含んで回りがふやけ始めています。例えるなら、ぬるま湯を注いで5分経過した状態と同じくらいでしょうか。
粒にはまだしっかりと硬さが残っているので、ここからさらに5分ほど放置するといい感じにふやけます。電子レンジは、時間を短縮したい時に活用するといいかもしれませんね!
ドッグフードのふやかす際の4つの注意点!
ドッグフードのふやかし方をザっと見ていただくと注意点などは大体わかるかと思うのですが、念のためここで簡単にまとめておきたいと思います。
熱湯は使わない
ドッグフードをふやかす際、熱々のお湯は使わないことが基本です。なぜかというと、熱に弱い栄養素が破壊されてしまう恐れがあるからです。ただし、一度沸騰させたお湯を40℃くらいにまで冷ましたもの(白湯)なら問題ありません。
冷たい水は使わない
キンキンに冷えた水でふやかしたドッグフードは、犬のお腹を冷やして下痢や腹痛を起こす原因となるため避けるようにしましょう。
ふやかした際のぬるま湯も一緒に与える
ドッグフードをふやかした際のぬるま湯は捨てないことが基本です。なぜなら、そのぬるま湯にはフードに含まれる水溶性の栄養素が溶け出しているからです。また、ふやかした際のぬるま湯も一緒に与えることで水分も補給できます。
作り置きはしておかない
一度ふやかしたドッグフードは大量の水分を含んでいるため、雑菌が繁殖しやすくなっています。なので、作り置き、食べ残しを保存して次の食事に回すといったことは絶対しないようにしましょう。必ず1回分だけをふやかし、食べ残したらすぐ捨てるようにして下さい。
老犬(シニア犬)に与えるドッグフードはふやかすべき?
よく「老犬にはドッグフードをふやかした方がいいですか?」と聞かれるのですが、これはシニア期を迎えた犬の飲み込む力や噛む力、そして健康状態にもよります。
もしも以下のリストに1つでも当てはまる場合、硬いドライフードよりも、ふやかしたドッグフードやウェットフード中心とした食事を与えた方がいいかもしれません。
- 歯周病や歯肉炎などが原因でうまく噛めない。
- 飲み込む力が弱くなっている(吐き出す、むせるなどが増えた)。
- 消化機能が低下している。
- 食欲が低下している。
まだまだ元気な老犬であれば、ドライフードをそのまま与えた方が歯の健康維持にもなります。しかしそうでなければ、ドッグフードをふやかすなど工夫をして食事をサポートしてあげた方がいいでしょう。
子犬(幼犬)のドッグフードはいつまでふやかすべき?
個体差があるので「生後〇ヶ月まで」といった決まりはありません。目安としては、およそ生後3~4ヶ月頃から少しずつドライフードへ移行していくといいでしょう。
ふやかしたドッグフードからドライフードへ移行する時は、1週間ほどかけて徐々に水分量を減らしていくことがポイントです。いきなりドライフードへ完全移行してしまうと、胃腸が驚いて消化不良を引き起こすこともあるので注意しましょう。
もしもドライフードを嫌がるようであれば、ふやかしたドッグフードを再び与えても構いません。焦らずゆっくりと移行していくことが、ドライフードに慣れてもらうためのコツです。
ただし、いつまでもふやかしたドッグフードを与えていると歯を鍛えることができません。せめて成犬期へ入るまでには、ドライフードに完全移行しておきましょう。
成犬にはドッグフードをふやかす必要はないの?
基本的に、成犬にドッグフードをふやかす必要はありません。もう消化器官も安定していますし、噛む力も歯も丈夫な期間なので、できるだけ硬いフードを食べさせて歯の健康を維持しておきましょう。
ただし例外があって、以下の健康状態に当てはまる場合はふやかしたドッグフードを食べさせた方がいい場合もあります。
- 歯や歯茎が弱って食べづらそうにしている。
- 消化器官が弱っている。
- 食欲不振に陥っている。
実際に我が家の愛犬も、食欲がない時にドッグフードをふやかしてあげたらよく食べてくれました。ぬるま湯を加えることで香りが強くなり、食欲を刺激してくれたみたいです。
ドッグフードをふやかすメリットとデメリットは?
最後に、ドッグフードをふやかすメリットとデメリットをまとめてみました。
- 香りが強くなるので食欲を刺激できる。
- 歯や噛む力が弱い犬でも食べやすい。
- 水分も補給できる。
- 消化吸収しやすい(胃腸に負担がかかりにくい)。
- ウェットフードだけを与えるよりも経済的。
- ふやかすのに時間と手間がかかる。
- 歯に残りやすい。
ドッグフードをふやかすことはいろんなメリットがある一方、ふやかすのに時間と手間がかかる、そして歯に残りやすいなどのデメリットも発生します。
ふやかしたドッグフードを与える必要性がある場合は別として、ふだんはできるだけ通常のドライフードを食べさせた方が犬の口・顎周りの健康維持にも役立つでしょう。
通常のドッグフードはそのまま(ドライの状態)で食べることを前提に作られているため、特別な事情がない限りはわざわざふやかしたドッグフードを食べさせる必要はありません。
ただ、万が一に備えて、ドッグフードのふやかし方は覚えておいた方がいいでしょう。とくに愛犬の食欲がない時は、ふやかしたドッグフードがとても役に立つこともあります。
初めてふやかす時はコツがつかめず失敗しやすいので、ぜひここで紹介した方法や注意事項を参考にしていただければと思います。