りんごはとても身近な果物なので、おやつとして、あるいはドッグフードのトッピングとして愛犬に与える飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ここでは、犬はりんごを食べても大丈夫なのか?りんごジュースやリンゴ酢などは与えてもいいのか?など、犬とりんごの関係性について解説していきたいと思います。
目次
犬はりんごを食べても大丈夫!子犬やシニア犬にも与えていいの
まず結論から言うと、犬はりんごを食べても問題ありません。
果物に対してアレルギーがなければ、基本的に子犬~シニア犬まですべての犬がりんごを食べて大丈夫です。
ただし、犬がりんごを食べれるのは種・茎・葉を除いた果肉部分のみになります。他にも、犬にりんごを与える際の注意点がいくつかあるので、次より詳しく解説していきましょう。
犬にりんごを与える際に注意しておきたい5つのこと!
りんごは犬も食べれる果物です。しかし何でもかんでも知識なしに与えるのは大変危険なので、りんごを与える際に気をつけておきたい5つのことをまとめてみました。
りんごの種・茎・葉は与えない
実は、りんごの種・茎・葉は犬にとって中毒性があります(りんごの果肉部分はとくに中毒性がないので安心して大丈夫です)。
りんごの種・茎・葉には「アミグダリン」という物質が含まれており、犬がこれを摂取すると体内で青酸毒が発生して深刻な中毒症状を起こしてしまうので注意しましょう。
しかも、この中毒に対しての解毒剤が今のところないようです。体質によっては命を落とし兼ねないため、必ず種・茎・葉は取り除くようにして下さい。
りんごの皮もなるべく与えない
りんごの皮にはポリフェノールが豊富に含まれています。ただ、そのまま犬に与えるのは消化の面で好ましくないため、できるだけ皮を剥く、あるいはすりおろしてから与えるようにしましょう。
それと、りんごによっては皮に農薬やニスなどが付着している可能性もあります。無農薬である保証がない限りは、できるだけ皮を与えないようにすることも大切です。
与える量に気をつける
りんごには食物繊維のペクチンが豊富に含まれています。ドッグフードにもりんごがよく使われているのは、ペクチンの働きを利用して犬の便通を良くするためです。
ただ、りんごは整腸作用がある分、食べ過ぎるとお腹が緩くなって下痢や消化不良の原因となることもあるので注意しましょう。
1日に与えていい量は、生のりんご20g程度までです。ドッグフードに野菜や果物がたくさん使われているようであれば、無理してりんごを20gも与える必要はありません。
与える大きさに気をつける
人間用の一口大にカットしたりんごは犬にとって大きいため、噛まずに丸呑みしてしまうと喉に詰まる恐れがあります。必ず細かくカットするか、あるいはすりおろしてから食べさせるようにしましょう。
果物アレルギーがある場合は控える
稀に果物アレルギーの犬がいます。これまで食べ物で何かしらアレルギーを発症したことがある場合は、念のためりんごを与えるのは控えましょう。
もしも果物に対してアレルギーがある場合は、下痢、嘔吐、湿疹、発疹、皮膚の赤み・かゆみ・腫れなどのアレルギー症状が出ます。様子がおかしいと感じた場合は、すぐにかかりつけの動物病院に相談するようにして下さい。
【りんごの栄養素】犬にはどんなメリットがあるの?
次に、りんごの栄養素と犬にとってのメリットを紹介していきたいと思います。
栄養素については「五訂日本食品標準成分表」を参考にしています。すべて皮つきのりんご100gあたりで計算されています。
便秘気味の犬には嬉しいペクチンが豊富!
エネルギー | 61kcal | 灰分 | 0.2g |
水分 | 83.1g | 飽和脂肪酸 | 0.02g |
タンパク質 | 0.2g | 不飽和脂肪酸 | 0.05g |
脂質 | 0.3g | コレステロール | 0 |
炭水化物 | 16.2g | 食物繊維 | 1.9g |
りんごには、水溶性の食物繊維ペクチンが豊富に含まれています。ペクチンには腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を排除する働きがあるため、便秘気味の犬には嬉しい栄養素です。
また整腸作用以外にも、血液中の毒素やコレステロールを取り除く働きもあります。
ビタミンがバランスよく含まれている!
カロテン | 27μg | ビタミンB6 | 0.04mg |
ビタミンE | 0.4mg | 葉酸 | 3μg |
ビタミンB1 | 0.02mg | パントテン酸 | 0.05mg |
ビタミンB2 | 0.01mg | ビタミンC | 6mg |
ナイアシン | 0.1mg |
りんごには、ビタミンC、E、B群、カロテンなどのビタミン類がバランスよく含まれています。
きちんと総合栄養食を食べていればビタミン不足になることはありませんが、手作り食が多い家庭はりんごをレシピに取り入れてみるのもいいでしょう。
筋肉の強化に欠かせないカリウムが含まれている!
ナトリウム | Tr | マグネシウム | 5mg |
カリウム | 120mg | リン | 12mg |
カルシウム | 4mg | 鉄 | 0.1mg |
バナナやメロンほどではありませんが、りんごにもカリウムが含まれています。
カリウムは摂取し過ぎると高カリウム血症を引き起こす恐れもあるため注意しなければなりませんが、適度に食べることで筋肉の強化や血流の改善が期待できます。
犬にりんごジュースやりんご酢を与えても大丈夫なの?
生のりんごなら、与え方や量を守れば犬に与えても大丈夫です。
ただし、例外を除いて人間用のりんごジュースやリンゴ酢は犬に与えないことが基本です。それぞれ詳しく解説していきたいと思います。
無添加のりんご100%ジュースなら少量飲んでも大丈夫!
基本的に、人間用につくられたりんごジュースを犬に与えることは好ましくありません。なぜなら、香料や甘味料など犬にとって必要のない添加物が使われている傾向にあるからです。
ただし、添加物も何も使われていないストレートなりんご100%のジュースであれば、犬が少量口にしても問題ありません。もちろん自宅で絞ったりんごジュースでも大丈夫です。
りんご酢はグッズとして活用するのがおすすめ!
健康にいいと言われるりんご酢ですが、犬が口にしても害はありません。ただし、原液では与えないようにしましょう。
もともと人間用のりんご酢を犬に飲ませること自体好ましくないので、どうしても与えたい場合は飲み水にティースプーン1杯分のりんご酢を混ぜて飲ませるようにして下さい。
それと、慢性酵母菌感染症(カンジダ)や腸に何かしらの病気を持っている犬には、たとえ薄めたりんご酢でも与えないことです。症状が悪化する恐れがあります。
りんご酢は、犬に飲ませるよりも犬のケア用グッズとして活用してみるといいですよ。おすすめの使い方を2つ紹介したいと思います。
ノミ除けスプレー
りんご酢を使ってノミ除けスプレーを作ることができます。犬の全身に使ってもいいですし、カーペットや犬のベッドにスプレーをしても効果的です。ただし、何かしら傷のある犬には使用しないよう注意して下さい。
りんご酢5:水5の割合で混ぜ、スプレーボトルなどに入れて使用する。
シャンプー後のリンス
いつものシャンプーのあとに、リンゴ酢をリンスとして使用することができます。この時、最後に洗い流さず、そのままタオルドライして乾かすことがコツです。使用する際は、犬の目に入らないよう十分に気をつけましょう。
水1リットルに対し、大さじ2杯のりんご酢を入れて混ぜる。
りんごの酸味って犬にとってもいいの?
りんごの酸味は、犬の体にも良い影響を与えてくれます。
そもそもりんごの酸味の元は、有機酸の「リンゴ酸」と「クエン酸」です。これらの成分は体内には溜まった乳酸を取り除く働きがあるため、程よく摂取することで疲れにくい体づくりをサポートしてくれます。
犬って疲れ知らずの動物のように見えますが、実は意外と疲労が溜まっているんです。しかも人間と同様、疲れが溜まり過ぎると免疫力が低下するため、うまく疲れをリフレッシュできないと病気やトラブルが引き起こされやすい体になります。
また、りんごの有機酸は腎臓や泌尿器系の疾患の予防にも効果があると言われています。とくに「シュウ酸カルシウム結石」の予防にいいそうです。
りんごは犬にとっても栄養のある果物ですが、バランスのとれたご飯を食べている場合はわざわざ毎日りんごを食べさせる必要もありません。これが飼い主さんに心得ていただきたい、犬とりんごの付き合い方です。
基本は、ちゃんと栄養のあるご飯を食べさせてあげることです。りんごはおやつ程度に留め、まずはベースとなる食事をしっかり管理するようにしましょう。