βカロテンが豊富な秋の果物と言えば柿。一般的に柿は犬が食べても大丈夫と言われていますが、何かと注意点が多い果物であること飼い主さんは知っておく必要があります。
ここでは、そもそも犬に柿を与えても大丈夫なのか?アレルギーの心配はないのか?など、犬と柿の関係性について解説していきたいと思います。
目次
柿は犬が食べても大丈夫?子犬やシニア犬に与えてもいいの?
まず結論から言うと、犬は熟した生の柿なら食べても問題ありません。
果物に対してアレルギーがなければ、基本的に子犬~シニア犬まですべての犬が熟した生の柿を食べても大丈夫です。
熟した生の柿にはとくに中毒症状の出る成分等は含まれていないため、これが犬に柿をあげていい理由になります。
ただし、犬が食べてはいけない柿もあります。他にも犬に柿を与える際の注意点がいくつかあるので、次より詳しく解説していきたいと思います。
犬に柿を与える際に注意しておきたい6つのこと!
柿は犬も食べれる果物です。しかし何でもかんでも知識なしに与えるのは大変危険なので、柿を与える際に気をつけておきたい6つのことをまとめてみました。
未成熟な柿や渋柿は与えない
柿には、渋柿・干し柿・あんぽ柿などいろんな種類のものがありますが、犬に与えていいのは熟した生の柿(何も手を加えていない柿)のみです。
犬は苦味を完治する器官がないので、渋柿も平気で食べると言われています。しかし、未成熟な柿や渋柿には「アルカロイド」と呼ばれる毒性成分が含まれているので注意が必要です。
アルカロイドとは、植物が動物に食べられないようにと身を守るために含んでいる成分。苦みのある植物や果物に含まれており、生のアスパラガスやナスなどにも含まれています。
大量に摂取しなければ大丈夫と言われていますが、こればかりはその時の健康状態にもよるので与えない方が望ましいです。中毒症状には、嘔吐・下痢・震えなどが挙げられます。
柿の種は与えない
柿の種は消化できるものではないため、必ず取り除くようにしましょう。たとえ飲み込んでしまっても、2~3日すると便と一緒に出てくるので心配はいりません。
ただ、稀に柿の種が腸で引っかかってしまうこともあります。すると嘔吐などの症状が見られるようになるので、すぐに動物病院へ連絡して獣医師の指示を仰ぐようにして下さい。
柿の皮と柿の葉も与えない
柿の種だけでなく、柿の皮と葉も消化されにくい部分です。犬の胃腸への負担を軽減するためにも、必ず取り除いてから与えるようにしましょう。
与える量に気をつける
柿は食物繊維が豊富な上に、体を冷やす作用のある果物です。食べ過ぎるとお腹を冷やして下痢や軟便を引き起こすこともあるため、与える量には気をつけましょう。
1日に与えてもいい量は、皮を剥いた生の柿を15g程度までです。寒い時期なら、肉類(鶏肉・ラム肉・鹿肉など)と一緒に調理をしてから与えるのもおすすめですよ。
与える大きさに気をつける
犬に柿を与える時は、薄くスライス、あるいは細かくカット(みじん切り)してから与えるようにしましょう。人間用に合わせたサイズで柿を与えると、噛まずに丸呑みして喉に詰まらせる原因となります。
果物アレルギーがある場合は控える
稀に果物アレルギーの犬がいます。これまで食べ物で何かしらアレルギーを発症したことがある場合は、念のため柿を与えるのは控えましょう。
もしも果物に対してアレルギーがある場合は、下痢、嘔吐、湿疹、発疹、皮膚の赤み・かゆみ・腫れなどのアレルギー症状が出ます。様子がおかしいと感じた場合は、すぐにかかりつけの動物病院に相談するようにして下さい。
【柿の栄養素】犬にはどんなメリットがあるの?
次に、柿の栄養素と犬にとってのメリットを紹介していきたいと思います。
栄養素については「五訂日本食品標準成分表」を参考にしています。すべて100gあたりで計算されています。
果糖・水分・食物繊維が豊富に含まれている!
エネルギー | 60kcal | 灰分 | 0.4g |
水分 | 83.1g | 飽和脂肪酸 | 0.02g |
タンパク質 | 0.4g | 不飽和脂肪酸 | 0.07g |
脂質 | 0.2g | コレステロール | 0 |
炭水化物 | 15.9g | 食物繊維 | 1.6g |
柿には果糖が豊富に含まれています。1日15gまでと量を決めて食べさせないと、糖分を摂り過ぎてしまう恐れもあるため気をつけておきたいものです。
肥満犬や糖尿病を抱えている犬には、柿をわざわざ与える必要もないでしょう。
それと、柿にはりんごと同じくらい水分を含んでいます。程よく食べさせることで良い水分補給になりますが、与え過ぎによる消化不良には注意して下さい。
βカロテンが豊富に含まれている!
カロテン | 420μg | ビタミンB6 | 0.06mg |
ビタミンE | 0.1mg | 葉酸 | 18μg |
ビタミンB1 | 0.03mg | パントテン酸 | 0.28mg |
ビタミンB2 | 0.02mg | ビタミンC | 70mg |
ナイアシン | 0.3mg |
柿にはβカロテン(カロテノイドと呼ばれる色素の一種)が豊富に含まれています。
犬の場合は体内でβ-カロテンをビタミンAに変換する性質を持っているため、過剰摂取によるビタミンA中毒には気をつけておきたいものです。とくに肝臓や腎臓の機能がひどく低下している犬、赤血球の数が少ない犬には注意しましょう。
また、柿にはビタミンCも豊富に含まれています。この量はいちごと匹敵するほどです。
筋肉の強化に欠かせないカリウムが含まれている!
ナトリウム | 1mg | マグネシウム | 6mg |
カリウム | 170mg | リン | 14mg |
カルシウム | 9mg | 鉄 | 0.2mg |
バナナやメロンほどではありませんが、柿にもカリウムが含まれています。
カリウムは摂取し過ぎると高カリウム血症を引き起こす恐れもあるため注意しなければなりませんが、適度に食べることで筋肉の強化や血流の改善が期待できます。
抗酸化作用にすぐれた「タンニン」も豊富!
表から分かる栄養素以外にも、柿には「タンニン」が豊富に含まれています。
タンニンとはポリフェノールの一種で、抗酸化作用をはじめとしたさまざまな効能・効果があります。
- 下痢の緩和や改善
- 高血圧の予防
- 口臭予防
- 収れん作用
- 生活習慣病予防
タンニンは腸の粘膜の痙攣を抑える働きがあるため、程よく摂取することでゆるい便を硬くする効果も期待できます。摂り過ぎると便秘になりやすくなるので気をつけましょう。
犬に「柿ピー」を与えてはダメ!というより論外!
柿ではなく「柿ピー」を与える飼い主さんが時々いますね。これは完全に人間用のスナックであり、味も濃く、犬にはふさわしくない添加物がたっぷり含まれているので犬に与えてはいけません。
いくら愛犬がヨダレを垂らしながらこっちを見ていても、心を鬼にして与えないようにすることが大切です。
柿は犬も食べれられる野菜ですが、好きだからといってわざわざ食べさせるべき果物でもありません。これが飼い主さんに心得ていただきたい、犬と柿の付き合い方です。
基本は、ちゃんと栄養のあるご飯を食べさせてあげることです。おやつや柿を使ったレシピ選びに集中するのもいいですが、まずはベースとなる食事をしっかり管理するようにしましょう。柿が嫌いな犬に無理やり食べさせる必要もありません。