冬から春にかけて旬を迎える果物と言えば、いちごですよね。甘酸っぱくて美味しいいちごを、おやつとして愛犬にホイホイ与えている飼い主さんも少なくありません。
どんな食品もそうですが、犬に通常のドッグフードやおやつ以外のものを与える際は基本的な知識と注意点をしっかり押さえておきたいものです。
ここでは、犬にいちごを食べさせる際の注意点、犬にとっていちごを食べるメリットなどを解説していきたいと思います。
目次
犬はいちごを食べても大丈夫!子犬やシニア犬も食べれるの?
まず結論から言うと、犬はいちごを食べても問題ありません。
ただし、子犬、シニア犬、果物アレルギーや特定の疾患を抱えている犬には積極的に与えるべきではないでしょう。
詳しくは後述しますが、いちごには犬にとって有害となる「キシリトール」が含まれています。もちろん量を加減すれば問題ありませんが、基本的な知識なしにいちごを過剰に与えることは望ましくありません。
そこで次に、犬にいちごを与える際の注意点を解説していきたいと思います。
犬にいちごを与える際に注意しておきたい4つのこと!
いちごは犬が食べてもいい果物です。しかし何でもかんでも知識なしに与えるのは大変危険なので、いちごを与える際に気をつけておきたいことを4つまとめてみました。
いちごの「キシリトール」にはやや注意が必要
いちごには、甘み成分である「キシリトール」が100gあたり約360mg含まれています。
私たち人間にとってこのキシリトールはとても身近な甘味成分ですが、犬が人間と同じ感覚でキシリトールを摂取してしまうと中毒を起こすこともあるため注意が必要です。
- インスリンの分泌作用が強く働き、血糖値が急激に低下する(低血糖症状)。
- 摂取して約30分後に元気がなくなる。
- ふらつき、嘔吐、痙攣、下痢などの症状を引き起こす。
- 肝機能に異常をもたらす。
- 最悪の場合は死に至ることもある。
では、この「大量」とは一体どのくらいの量なのか?
調べたところによると、体重10kgの犬が1gのキシリトールを摂取したら危険とされています。3kgの犬なら300mg、5kgなら500mgのキシリトールを摂取するのは危険ということになります。
要するに、健康な犬がいちご1個でキシリトール中毒が出ることは稀だということです。
もちろん、いちごを10個~1パックも食べるのは犬の健康のためにも避けておきたいですが、1個程度なら害を及ぼすことはないので問題ありません。
ただし、消化器官が未発達の子犬や抵抗力が弱っているシニア犬、また何かしら病気を抱えている犬へ積極的にいちごを与えるのは避けておきましょう。
ちなみに、犬がキシリトールを摂取して中毒を起こす確率がグッと高くなるのは、人間用のキシリトールガムやタブレットを食べてしまった時です。キシリトールの含有量がいちごよりも多いため、万が一食べてしまった場合は、すぐに動物病院へ連絡をしましょう。
与えるいちごの量に気をつける
個体差はありますが、犬にいちごを与えていい量は1日20gまでです。先ほどお伝えしたキシリトールの件も含め、1日20g程度に留めておくことが望ましいです。
バラ科のアレルギーがある場合は与えない
いちごはバラ科の果物です。稀にいちごや桃などのバラ科の果物にアレルギー反応を起こす犬がいるため、初めて与える際は食べた後の様子もしっかり観察するようにしましょう。
いちごに対してアレルギーがある場合は、嘔吐、下痢、くしゃみ、皮膚をかゆがる、目の充血などのアレルギー症状が見られます。様子がおかしいと感じた場合は、すぐにかかりつけの動物病院に相談するようにして下さい。
いちごのヘタをとって食べやすい大きさに切る
いちごのヘタは犬にとって消化が悪いため、必ず取り除くようにしましょう。
また、食べやすい大きさに小さくカットしてあげることも大切です。切らずにそのまま与えると、食道の細い犬や嚥下力が低下している犬は喉に引っかかってしまいます。これでは窒息や吐く原因となるため、大きさには十分に注意して下さい。
【いちごの栄養素】犬にはどんなメリットがあるの?
次に、いちごの栄養素と犬にとってのメリットを解説していきたいと思います。
栄養素については「五訂日本食品標準成分表」を参考にしています。すべていちごの可食部100gあたりで計算されています。
ダイエット中の犬には嬉しい低カロリー!
エネルギー | 34kcal | 灰分 | 0.5g |
水分 | 90g | 飽和脂肪酸 | 0.01g |
タンパク質 | 0.9g | 不飽和脂肪酸 | 0.06g |
脂質 | 0.1g | コレステロール | 0 |
炭水化物 | 8.5g | 食物繊維 | 1.4g |
いちごのカロリーは100gあたり34kcalと低く、スイカやみかんよりもヘルシーな果物であることが分かります。
ヘルシーだからと与えすぎは禁物ですが、おやつとして1日20g程度与える分には問題ありません。また、いちごにはペクチンやクエン酸などの食物繊維も多く含まれています。
シニア犬には嬉しいビタミンCが豊富!
カロテン | 18μg | ビタミンB6 | 0.04mg |
ビタミンE | 0.4mg | 葉酸 | 90μg |
ビタミンB1 | 0.03mg | パントテン酸 | 0.33mg |
ビタミンB2 | 0.02mg | ビタミンC | 62mg |
ナイアシン | 0.4mg |
いちごはビタミンCが豊富です。100gあたり62mgものビタミンCが含まれており、いちごのブランドによっては100gあたり80mgのビタミンCを含んでいるものもあります。
私たち人間にとっては毎日摂取しておきたいビタミンCですが、犬はビタミンCを体内で合成することができるため積極的に補給する必要はありません。
ただし、合成能力が低下している犬(病気や老齢の犬、膨大なストレスを抱えている犬など)はビタミンCが足りていないため、いちごを1日20g程度食べさせることは良い方法と言えるでしょう。
塩分の排出を手助けするカリウムが含まれている!
ナトリウム | - | マグネシウム | 13mg |
カリウム | 170mg | リン | 31mg |
カルシウム | 17mg | 鉄 | 0.3mg |
いちごには100gあたり約150mgのカリウムが含まれています。カリウムは摂取しすぎると高カリウム血症を引き起こす恐れもあるため注意しなければなりませんが、適度に食べることで筋肉の強化や血流の改善が期待できます。
ただし、きちんとした総合栄養食を食べている場合は十分なカリウムを摂取できているため、いちごから積極的に補給する必要はありません。
いちごジャムやいちごアイスは犬にあげていいの?
果物のいちごは、これまでお伝えした内容をきちんと守れば犬も食べられます。しかし、いちごを加工した人間用の食品は飲ませない・食べさせないようにしましょう。
例えば「いちごジャム」。一般的ないちごジャムには砂糖が多く入っており、メーカーによっては増粘剤や着色料を添加しているため、そもそも犬に与えること自体好ましくありません。
そして「いちごアイス」。こちらも甘味料や香料など犬にとって必要のない添加物が多く使われています。また極端に冷たい食べ物は犬のお腹を冷やして下痢や消化不良を引き起こすこともあるため、いずれにせよ与えない方が安全です。
他にも、いちごヨーグルトやいちごケーキなど、すべてにおいて人間用につくられた食品は犬に食べさせるべきではありません。
いちごが嫌いな犬に無理やり食べさせる必要もなく、いちごが大好きな犬に毎日食べさせ続けるのも良くない。それが、飼い主さんが心得ておきたい犬といちごの付き合い方です。
いちごはあくまでもおやつとして与えるようにし、ふだんは栄養バランスのとれたご飯をきちんと食べてもらいましょう。犬が健やかにいきていくためにも大切なことです。