「犬にヨーグルトを与えても大丈夫なんですか?」
実は、私に寄せられる「犬が食べていい食材・食べてはいけない食材」に関する質問の中で、ヨーグルトについての質問がもっとも多いです。
そんな私も、犬と食事について深く勉強するまでは知りませんでした。
犬にヨーグルトを与えても本当に大丈夫なのか?下痢やアレルギーの心配はないのか?など、ここでは犬とヨーグルトの関係性をいろんな角度から解説していきます。
目次
そもそも犬はヨーグルトを食べても大丈夫?
まず結論から言うと、犬はヨーグルトを食べても問題ありません。ただし、乳製品アレルギーやお腹が緩くなりやすい犬にはむやみに与えないようにしましょう。
なぜ犬がヨーグルトを食べても大丈夫なのかというと、ヨーグルトには犬が体内でうまく分解できない「乳糖(ラクトース)」があまり含まれていないからです。
逆に、人間用の牛乳にはこの乳糖が多く含まれているため、乳糖を消化する酵素を持たない犬が飲むとお腹を壊して下痢を引き起こします。
だからと言って、犬にヨーグルトをむやみに与えるのは良くありません。
与えてもいい量やヨーグルトの種類というものがありますので、犬にヨーグルトを与える際の注意点を次より詳しく解説していきます。
犬にヨーグルトを与える際に注意しておきたい5つのこと!
ヨーグルトは犬が食べてもいい食品です。しかし何でもかんでも知識なしに与えるのは大変危険なので、ヨーグルトを与える際に気をつけておきたい5つのことをまとめてみました。
与える量に気をつける
犬に食べさせていいヨーグルトの量は、1日にティースプーン1~2杯程度までが目安です。体の大きさによっても異なるので、以下におおよその目安量をまとめてみました。
- 小型犬・・・ティースプーン半分~1杯
- 中型犬・・・ティースプーン1~2杯
- 大型犬・・・ティースプーン2~3杯
体の大きさに関わらず、初めて与える際は少量で様子を見ましょう。食べた直後の様子だけでなく、その後にするうんちが柔らかければ与える量を減らすといった具合に調整して下さい。
乳製品のアレルギーがある場合は控える
ヨーグルトも牛乳と同様、乳製品です。
いくら乳糖が多く含まれていないからとはいえ、もともと牛乳などの乳製品に対してアレルギー反応を起こしてしまう場合は少量でもヨーグルトを与えるのは控えましょう。
ほんのわずかな乳糖がダメな犬には与えない
犬が乳糖を分解する酵素は、加齢とともに減っていきます。子犬や成犬の時はヨーグルトを食べても平気だったのに、老犬になったら体質に合わなくなってきた…なんてことあります。
また、もともとほんのわずかな乳糖でも軟便・下痢をしてしまう犬もいるため、体質に合っていないなと感じたらヨーグルトを与えるのは中止しましょう。
冷えすぎたヨーグルトを与えない
犬にとってキンキンに冷えたヨーグルトは体を冷やす原因となります。与える時はできるだけ室温に戻し、冷えすぎていないヨーグルトを与えるようにしましょう。
甘味料や香料などの添加物が入ったヨーグルトは与えない
詳しくは後述しますが、犬に与えてもいいヨーグルトは無糖で無脂肪あるいは低脂肪のプレーンヨーグルトです。
砂糖などの甘味料、着色料、香料、増粘剤などの添加物が入ったヨーグルトは与えないようにしましょう。
また、クリームやアロエなどのフルーツが入ったヨーグルトも犬にはふさわしくありません。
【ヨーグルトの栄養と効果】犬にはどんなメリットがあるの?
次に、犬がヨーグルトを食べることのメリットについて、ヨーグルトの栄養素も絡めながら解説していきたいと思います。
まずは、ヨーグルトを食べることによって期待できる働きを以下に簡単にまとめてみました。
- 腸内環境の改善による免疫力の向上。
- うんち全般の改善(下痢、便秘、軟便など)。
- 酵素による消化機能の改善。
- 口臭・虫歯・歯垢の予防。
- カルシウムやビタミンの補給。
それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。
腸内環境の改善による免疫力の向上
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える働きがあります。
犬の腸にも善玉菌と悪玉菌が住みついており、消化の悪いものや刺激の強いものを食べ続けたり、あるいはストレスが溜まると、腸内に悪玉菌が増えて腸内環境が悪化してしまいます。
腸内環境が悪化すると便秘・軟便・下痢などが増えるほか、免疫力が低下してアレルギーや感染症などさまざまなトラブルが引き起こされやすくなるため気をつけましょう。
最近は乳酸菌やオリゴ糖の含まれたドッグフードが増えてきましたが、なかなかそういったドッグフードを食べる機会がない場合は、量を守ってヨーグルトを日常的に取り入れてみるのも1つの方法です。
うんち全般の改善(下痢、便秘、軟便など)
腸内に善玉菌が増えて環境が整うと、外に排出されるものにも良い変化が表れはじめます。
例えば、うんちやおなら。腸内環境が良くなると、うんちの状態やおならの臭いも改善されます。
酵素による消化機能の改善
ヨーグルトは発酵食品なので、いろんな酵素が含まれています。
これらの酵素の中には消化を助ける働きのある消化酵素も含まれているため、食べ物の消化や分解があまり得意ではない犬の心強い味方にもなってくれます。
口臭・虫歯・歯石の予防
実は、ヨーグルトで口臭・虫歯・歯石などの予防も期待できます。ただし、劇的な効果は望めないので、あくまでも「そういう働きもある」として参考にしていただければ幸いです。
まず口臭については、腸内環境が整うことで悪玉菌が減り、有害物質(臭いの元)がつくられにくくなることが理由です。
血液もきれいになるので、次第に口臭などが抑えられるようになると言われています。
そして虫歯や歯石については、乳酸菌が口内の細菌や雑菌の繁殖を抑える働きがあることが理由になります。
カルシウムやビタミンの補給
ヨーグルトには、タンパク質やカルシウム、ビタミンB1、ビタミンB2などの栄養素も豊富に含まれています。
カルシウムの過剰摂取は他のミネラルの吸収を妨げてしまうので注意しなければなりませんが、きちんと量を守っていれば過剰に摂取してしまう心配もありません。
ただし、カルシウムのサプリメントなどを取り入れている場合は、ヨーグルトを控えるようにしましょう。
犬が食べてもいいヨーグルトの種類は?
次に、犬が食べてもいいヨーグルトの種類についてです。
犬に与えるヨーグルトは、必ず何も余計なものが入っていない「無糖タイプ」のものを選ぶようにしましょう。加糖タイプは、犬の健康のためにも控えた方がいいですね。
そして、低脂肪または無脂肪で、人工甘味料や香料など余計な添加物が入っていないヨーグルトを選ぶようにして下さい。
個人的におすすめなのは「明治ブルガリアヨーグルト」や「ナチュレ恵」のプレーンヨーグルトです。これらは原材料がいたってシンプルなので、安心して与えられます。
犬におすすめなヨーグルトを使ったレシピや食べ方
最後に、犬におすすめなヨーグルトを使ったレシピや食べ方を紹介します。
いつものフードにトッピング
ヨーグルトの乳酸菌は胃酸に弱いです。胃酸がいっぱい出やすい空腹時のタイミングでヨーグルトを食べさせると、乳酸菌が胃酸でダメになりやすいと言われています。
そこでおすすめなのが、いつものドッグフードや手作りご飯にヨーグルトをトッピングする方法です。こうすることで、菌が生きたまま腸にたどり着きやすくなります。
フルーツと混ぜる
ヨーグルトとフルーツを組み合わせると、それだけでちょっぴり豪華になります。
ただし、フルーツは何でもいいわけではありません。犬が食べてはいけないフルーツ(ぶどうなど)もあるので、与えるとしたらりんご、バナナ、桃、梨などがおすすめです。
ヨーグルトを温める
実は、ヨーグルトを少し温めるだけでも犬にとっては十分なごちそうになります。
やり方はすごく簡単で、電子レンジで10秒ほどチンするだけ。こうすることで、ヨーグルトの乳酸菌やカルシウムなどの栄養素が体内に吸収されやすくなります。
ヨーグルトは犬にも良い影響を与えてくれますが、いつものご飯で十分栄養が足りている場合は無理にヨーグルトを食べさせる必要はありません。
ただ、添加物たっぷりのおやつを与えるより、ヨーグルトを活用した方が健康にはいいです。時と場合に応じて、ヨーグルトをうまく利用して愛犬を喜ばせてみるのもいいでしょう。
基本は、栄養バランスのとれたご飯を食べさせることです。体にいいからと、ヨーグルトが嫌いな犬に無理やり食べさせる必要もありません。