
犬もたまにしゃっくりをすることがあります。
しゃっくりがあまりにも長く続くと「病気?」と心配になってしまいますが、犬も人間同様、病気じゃなくてもしゃっくりが続いてしまう時があるのです。
ここでは、犬がしゃっくりをする原因や対処法について解説していきたいと思います。
目次
犬がしゃっくりをする仕組みって何?
犬のしゃっくりに特別な仕組みがあるわけではありません。そこは人間と同じで、横隔膜が痙攣することでしゃっくりは起きています。
しゃっくりは体内に溜まった空気やガスなどを外に放出する効果があるため、決して悪い現象ではありません。例えて言うなら、ゲップと同じような働きがあります。
犬がしゃっくりをする7つの原因とそれらの対処法!
犬がしゃっくりをする主な原因は、以下の7つが引き金となっているケースが多いようです。
- 早食い
- 餌の硬さが合っていない
- 冷たいものを食べたor飲んだ
- 誤飲誤食
- ストレスや運動不足
- 寒さに対応できていない
- 病気
この中でも、1~6番はとくに心配する必要のないしゃっくりです。7番は重大な病気が潜んでいる可能性もあるため、できるだけ早めに動物病院を受診するようにしましょう。
それではまず、1~6番のしゃっくりの原因について解説していきたいと思います。
早食い
犬がしゃっくりをする時の原因としてもっとも多いのが、ご飯の早食いです。
犬はよく噛まずに飲み込む習性があるため、食べ方によっては食事のたびに横隔膜が刺激を受けやすくなっていることもあります。
横隔膜が刺激を受けると今度は呼吸のリズムが乱れ始めるので、次第にしゃっくりの症状が現れるようになります。
対処法
愛犬に早食いのクセがある場合は、以下のような工夫をとられるといいでしょう。
- 1回の給餌量を少なくしてみる。
- 早食い防止のフードボウルに切り替える。
- 少し大きめの粒に切り替えてみる。
ちょっとした工夫が愛犬の早食い防止にもなるので、大量の空気を吸い込んで横隔膜を刺激することを防ぎやすくなります。
ドッグフードの硬さが合っていない
フードの硬さとしゃっくりは意外にも関係があり、とくに柔らかいフードからドライフードへと変えた時にしゃっくりが起こりやすい傾向にあるようです。
その理由は、フードの硬さに胃が対応しきれずうまく消化できないから。フードの硬さに慣れてくると次第にしゃっくりも出なくなるので、さほど心配する必要はありません。
対処法
フードの硬さが合っていない時は、犬もなんとなく食べづらそうにしている様子を見せます。
そんな時はフードをぬるま湯で軽くふやかしたり、硬いフードに慣れるまでは柔らかいフードも一緒に混ぜて食べさせてみるといいでしょう。
冷たいものを食べたり飲んだりした
これは人間も同じで、冷たいものを食べたり飲んだりすると胃が冷えます。すると横隔膜が刺激を受けて痙攣しやすくなり、結果しゃっくりが出るようになります。
対処法
愛犬の胃が空っぽの状態で、キンキンに冷えた氷水などはできるだけ与えないようにしましょう。胃になるべく負担をかけないためにも、何か食事をした後に冷たいものを与えることが望ましいです。
誤飲誤食
誤飲誤食をしてしまった場合にもしゃっくりを起こすことがあります。
この場合すぐにしゃっくりを起こすのではなく、飲み込んでしまった異物が消化されず、胃酸とともに逆流を起こすときの刺激が原因でしゃっくりに繋がることがあります。
対処法
犬の誤飲誤食は日常的に起こっています。これは飼い主さんが細心の注意を払っていれば未然に防げることなので、誤飲誤食しそうなものを置いていないか常に確認しましょう。
犬が食べてはいけない食べ物についても学んでおくことをおすすめします。
ストレスや運動不足
ストレスや運動不足もしゃっくりに繋がることがあります。
これはなぜかというと、精神的なストレスが呼吸を乱しやすくするからです。人間もストレスがかかっていると呼吸が浅くなりますよね。それと同じようなことが犬にも起きます。
不安や緊張などのストレス、疲労感などの交感神経の過剰な緊張がしゃっくりの原因になっているケースがあります。
運動不足の場合は、過剰な体脂肪による呼吸器の圧迫などがあげられます。
対処法
愛犬に過度なストレスを与えないためにも、飼育環境の見直しをはじめ、スキンシップなどのコミュニケーション、適度な運動や散歩を毎日心がけるようにしましょう。
寒さに対応できていない
犬種によっては、寒さにうまく対応できず低体温症を引き起こす子もいます。うまく体温調節ができないと呼吸が荒くなるため、次第にしゃっくりが出ることもあります。
また、温かい場所から急に寒い場所へ移動した時などにもしゃっくりが出やすいようです。
対処法
気温が下がり始めたら、体全体を覆える毛布やブランケットを用意して寒さ対策ができるようにしておきましょう。
温かい室内から寒い外へ出る時は、犬用のジャケットなどを着せるなどして極端な寒暖差を感じさせない工夫も大切です。
犬のしゃっくりが止まらない時は病気のサインかも…!
さて、ここからは病気によるしゃっくりについてです。
しゃっくりが必ずしも病気のサインとは限りませんが、中にはしゃっくりが症状となって現れる病気もあります。
例えば、しゃっくりが長時間続く・何日も続く、咳が伴う、嘔吐する、苦しそうにしているといった他の症状も見られる場合、何かしら体の不調を抱えている可能性があります。
しかし、この症状はほんの一例に過ぎません。明らかに変なしゃっくりをしている、またはしゃっくり以外の他の症状も見られる場合は必ず動物病院を受診するようにして下さい。
それではまず、考えられる主な病気を見ておきましょう。
- 消化器官の異常
- 寄生虫の感染
- 呼吸器疾患
- 脳機能障害
- てんかん
- 心臓病
これらは、しゃっくりが1つの症状として現れやすい病気と言われています。ただし、必ずしもこれらの病気が当てはまるとは限りません。
消化器官の異常によるくしゃみ
食道、胃、腸などに何かトラブルがあると、症状の一つとしてしゃっくりが出ることがあります。考えられる消化器官の異常・病気は以下の通りです。
- 食道炎
- 胃炎
- 胃潰瘍
- 胃捻転など
中でも胃捻転は非常に危険な病気で、手遅れになると命を落としてしまうこともあります。とくに大型犬に起こりやすく、飲食後すぐの運動などがきっかけとなりやすいようです。
他にも、食べた物がうまく消化されず逆流することで起きるしゃっくりもあります。この場合は食事が体質に合っていないなど、与えている食事に原因があることが多いようです。
寄生虫の感染によるくしゃみ
寄生虫がお腹の中に感染している時も、しゃっくりが起こることがあります。
しゃっくりの他に元気がない、食欲不振、下痢、嘔吐、血便などの症状も見られ、すぐに動物病院で治療&駆虫してもらう必要があります。この時にうんちも持参すると、検査がよりスムーズです。
呼吸器疾患によるくしゃみ
しゃっくりの主な原因に呼吸器疾患があります。挙げられる病気は以下の通りです。
- 喘息
- 肺炎
- 肺がん
- 気管支炎など
くしゃみとともに苦しそうにしている、咳が止まらないといった症状もあれば、呼吸器に何らかのトラブルがある可能性があります。
あまり長い時間放置していると呼吸困難に陥ることもあるため、異変に気がついたらすぐに獣医師に診てもらいましょう。早期発見が命を救います。
脳機能障害によるくしゃみ
しゃっくりで最も気をつけなければならないのは、脳機能障害によるしゃっくりです。
脳に何らかの障害が起こると、神経や筋肉にうまく命令を出せずにしゃっくりが起こることもあります。とくに症状が長引く場合、脳梗塞や脳腫瘍の疑いもあるようです。
しゃっくりが何時間も止まらない、何度も繰り返すといった様子があれば、まずはかかりつけの動物病院に相談して検査をしてもらいましょう。
てんかんによるくしゃみ
てんかんも脳の病気の一つです。てんかんの初期症状の一つとしてくしゃみがあり、次第に痙攣、発作、泡を吹く、多量のよだれをたらすなどの症状も見られ始めます。
てんかんは意識がなくなるだけで、痛みや苦しみなどを感じているわけではありません。
痙攣している姿を見た時は思わず動揺してしまいますが、発作が起きている間はそっと見守るようにしましょう。
大事なのは、てんかんが起きた時の様子をしっかりとメモすることです。獣医師にとって、そのメモが重要な資料となります。
心臓の異常によるしゃっくり
心臓に何らかの異常があると、この場合もまた症状の一つとしてしゃっくりが出るようになることもあります。考えられる病気は以下の通りです。
- 心臓炎
- 心臓肥大など
- 心臓病
- 心内膜炎など
心臓に負担がかかっていると、咳が出たり呼吸が荒くなる様子が見られます。しゃっくり以外に呼吸の仕方がおかしいといった様子が見られた場合は、必ず検査を受けるよにして下さい。
子犬のしゃっくりは心配しなくても大丈夫!
同じしゃっくりでも、子犬のしゃっくりに関しては深く心配する必要はありません。
子犬は体が成長している段階にあるので、内臓の成長にともない横隔膜が痙攣しやすいのです。また、横隔膜そのものの使い方も未熟であることが理由になります。
ただし、子犬は消化器官もまだまだ未熟です。消化器官のトラブルによるしゃっくりも珍しいことではないため、様子がおかしい場合は食事内を見直された方がいいでしょう。
犬が寝てるときのしゃっくりは「寝言」なの?
これは結構あるあるなのではないでしょうか?我が家の愛犬も、寝てる間に時々しゃっくりのようなものをします。
実はこれ、しゃっくりではなく寝言のようなものなんだとか。
犬もどうやら夢を見るようで、寝てる間に「ひくっ」とか「ボワッ」といった寝言を言うようです。
ちなみに、これについては何も心配する必要はありません。睡眠中のしゃっくりだけなら、基本的に問題はないので安心して下さい。
犬のしゃっくりの止め方って何があるの?
あまりにも愛犬のしゃっくりが気になるようであれば、意図的に止めるのも一つの方法です。
ただし、止め方によっては愛犬の負担になることもあります。愛犬の健康状態があまり良くない時は、無理にやらないことが大切です。
何かを食べたり飲ませたりしてみる
しゃっくりをしている間に、何かを食べたり飲ませたりしてみましょう。すると呼吸のリズムが整い、しゃっくりが止まることもあります。
みぞおちを優しくマッサージする
胃と肋骨の間にあるみぞおちを、手の平全体を使ってやさしく押したり撫でたりしてみましょう(強く押さないように注意!)。
すると横隔膜の痙攣が少しずつおさまり、次第にしゃっくりも止まり始めることがあります。
軽い運動や散歩をする
軽く体を動かすことで呼吸のリズムが整い、しゃっくりが止まりやすくなります。激しい運動をしなくても、軽く体を動かす程度で大丈夫です。
愛犬のしゃっくりに動揺してすぐに動物病院へ駆けこむのは良くありませんが、こういった原因や病気の可能性もあるということを知っておくことは大事なことです。
愛犬のしゃっくりで深刻に思い悩まないためにも、定期的に健康診断はおきましょう。愛犬の健康状態を常に把握しておくことは、飼い主としての責任だと私は考えています。