
リコピンが豊富な緑黄色野菜と言えばトマト。食卓に並ぶ機会も多い野菜なので、ドッグフードにトッピングしたりして愛犬に食べさせる家庭も多いのではないでしょうか?
ここでは、そもそも犬にトマトを与えても大丈夫なのか?トマトジュースなどの加工品はどうなのか?など、犬とトマトの関係性をいろんな角度から解説していきます。
目次
犬はトマトを食べていいの?子犬やシニア犬は食べれる?
まず結論から言うと、赤く完熟したトマトなら犬が食べても問題はありません。
トマトに対してアレルギーなどがなければ、基本的に子犬~シニア犬まですべての犬が完熟トマトを食べて大丈夫です。
ただし、犬がトマトを食べれるのは中毒成分がない果肉部分のみになります。犬にトマトを与える際の注意点がいくつかあるので、次より詳しく解説していきたいと思います。
犬にトマトを与える際に注意しておきたい5つのこと!
未熟な緑色のトマトは与えない
犬が食べてもいいのは、赤く完熟したトマトのみになります。これはなぜかというと、未熟な青いトマトには「トマチン」と呼ばれるじゃがいもの「ソラニン」や「チャコニン」と同じ毒性のある成分が含まれているからです。
トマチンの毒性については、以下の引用文を参考にして下さい。
トマチンの毒性は、マウスの腹腔内に投与したときの半致死量(LD50)が32mg/kgであり、これを単純に50kgのヒトに換算すると、半致死量は1600mg(1.6g)になります(マウスとヒトで効果が同じかどうかはわかりませんが)。この量は完熟果実では、4000kg (4トン!)、熟した青い果実では、33kg、未熟果実では3.4kg、に相当します。中ぐらいの大きさのトマトは約100gですから、未熟果実でも34個を一挙に食べないと半致死量には達しません。通常、そのような場合は考えられません。
日本植物生理学会の回答を見ても分かる通り、人間の場合はかなりの量の緑色トマトを食べないと中毒症状が出ないことが分かります。
とは言え、人間も動物もこればかりはその時の体質や健康状態にもよりますので、毒性成分が多く含まれる緑色のトマトを犬に食べさせることはやめておきましょう。
トマトの葉・茎・花は絶対に与えない
実は、トマトの葉・茎・花にもトマチンが含まれています。含有量は部位によって異なり、一番多い花では緑色トマトの約22倍にものぼります。
ちょっと食べたからといって健康に害が出ることはありませんが、すべての犬に対して大丈夫とは言い切れないので絶対に与えないようにしましょう。
与える量と与え方に気をつける
トマトを与える量は1日15g程度がベストです。トマトは水分を多く含む野菜なので、食べ過ぎると軟便や消化不良による下痢を引き起こしやすくするため注意しましょう。
また与え方ですが、生のままでも基本的にはOKです。ただ、トマトに含まれる「リコピン」は加熱することで吸収されやすくなるので、軽く電子レンジで温めてから食べさせるといいかもしれませんね。
トマトアレルギーがある場合は与えない
稀にトマトアレルギーの犬がいます。これまで何らかの食べ物でアレルギーを発症したことがある場合は、念のためトマトを与えるのは控えましょう。
もしもトマトに対してアレルギーがある場合は、下痢、嘔吐、湿疹、発疹、皮膚の赤み・かゆみ・腫れなどのアレルギー症状が見られます。様子がおかしいと感じた場合は、すぐにかかりつけの動物病院に相談するようにして下さい。
トマトの皮・種・ヘタは取ってあげる
犬にとって消化しにくい皮と種は取ってあげましょう。また、トマトのヘタにもトマチンが多く含まれているので、食べさせないほうが無難です。
【トマトの栄養素】犬にはどんなメリットがあるの?
次に、トマトの栄養素と犬にとってのメリットを紹介していきたいと思います。
脂肪燃焼作用のある成分が含まれている!
エネルギー | 19kcal | 灰分 | 0.5g |
水分 | 94g | 灰分飽和脂肪酸 | 0.02g |
タンパク質 | 0.7g | 不飽和脂肪酸 | 0.04g |
脂質 | 0.1g | コレステロール | 0 |
炭水化物 | 4.7g | 食物繊維 | 1.0g |
トマトの果汁成分には、脂肪燃焼作用のある「13-oxo-ODA」が多く含まれています。肥満に伴う脂質代謝異常の改善に有効な成分として、今注目を集めています。(参考:特定非営利活動法人 医療教育研究所「京大でトマト中に脂質代謝異常改善に有効な成分発見」)
βカロテンが豊富に含まれている!
カロテン | 540μg | ビタミンB6 | 0.7mg |
ビタミンE | 0.9mg | 葉酸 | 22μg |
ビタミンB1 | 0.05mg | パントテン酸 | 0.17mg |
ビタミンB2 | 0.02mg | ビタミンC | 15mg |
ナイアシン | 0.7mg |
トマトにはβカロテン(カロテノイドと呼ばれる色素の一種)が豊富に含まれています。
犬の場合は体内でβカロテンをビタミンAに変換する性質を持っているため、過剰摂取によるビタミンA中毒には気をつけておきたいものです。とくに肝臓や腎臓の機能がひどく低下している犬、赤血球の数が少ない犬には注意しましょう。
筋肉の強化に欠かせないカリウムが含まれている!
ナトリウム | 3mg | マグネシウム | 9mg |
カリウム | 210mg | リン | 26mg |
カルシウム | 7mg | 鉄 | 0.2mg |
トマト100gあたり約210mgのカリウムが含まれています。カリウムは摂取し過ぎると高カリウム血症を引き起こす恐れもあるため注意しなければなりませんが、適度に食べることで筋肉の強化や血流の改善が期待できます。
犬にトマトジュースやトマトスープをあげてもいいの?
赤く熟したトマトの果肉なら、これまでお伝えした内容をきちんと守れば犬も食べられます。しかし、トマトを加工した人間用の食品は犬に飲ませない・食べさせないが基本です。
まず、無塩・無添加なら多少あげてもいいとよく言われているのが「トマトジュース」と「トマト缶」。
あくまでも私個人の意見ですが、本当に安全な無農薬トマトが使われているのであれば、ティースプーン1杯分くらい舐めさせても構わないでしょう。ただし、総合栄養食のドッグフードを食べさせているのであれば、わざわざ与える必要はありません。
そして次に、人間用の「トマトスープ」「トマトソース」「トマトケチャップ」「トマトゼリー」です。
これらは何かしら調味料・添加物が入っているため、犬に与えること自体好ましくありません。無添加と書かれていても与えてはいけません。
このような人間用の加工食品を日常的に犬に食べさせることは、肥満や病気を誘発させるだけでなく、食べることが癖になって栄養のあるご飯を食べない原因をつくり出します。十分に気をつけましょう。
トマトは犬も食べれられる野菜ですが、好きだからといってわざわざトマトだけを毎日食べさせる必要はありません。
基本は、ちゃんと栄養のあるご飯を食べさせてあげることです。おやつやトマトを使ったレシピ選びに集中するのもいいですが、まずはベースとなる食事をしっかり管理するようにしましょう。
その上でトマトを使った手作り食を研究したり、おやつとしてたまに食べさせるくらいに留めておくといいですね。トマトが嫌いな犬に無理やり食べさせる必要もありません。