夏に食べたい代表的な果物と言えばスイカ。熱中症対策や水分補給に良い果物でもあることから、愛犬の夏バテ対策としてスイカを食べさせる人も多いようです。
ここでは、そもそも犬にスイカを与えても大丈夫なのか?アレルギーの心配はないのか?など、犬とスイカの関係性について解説していきたいと思います。
目次
犬はスイカを食べていいの?子犬やシニア犬も大丈夫?
まず結論から言うと、犬はスイカを食べても問題ありません。ウリ科のアレルギーがなければ、基本的に子犬~シニア犬まですべての犬がスイカを食べて大丈夫です。
スイカの果肉にはとくに中毒症状の出る成分等は含まれていないため、これが犬にスイカをあげていい理由になります。
ただし、犬にスイカを与える際はいくつか注意点があることを知っておきましょう。その注意点を今から解説していくので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
犬にスイカを与える際に注意しておきたい4つのこと!
スイカは犬が食べてもいい果物です。しかし何でもかんでも知識なしに与えるのは大変危険なので、スイカを与える際に気をつけておきたい4つのことをまとめてみました。
スイカの皮や種は絶対に与えない
犬に与えていいのはスイカの果肉部分のみです。スイカの皮や種は消化されにくく、犬の胃腸に大きな負担をかけてしまうだけなので、必ず取り除いてから与えるようにしましょう。
とくにスイカの皮は、食べ方によっては腸に詰まって腸閉塞を引き起こす原因ともなります。この場合は繰り返し嘔吐する特徴がみられるので、様子がおかしいなと感じたらすぐに獣医師の指示を仰ぐようにしましょう。
ウリ科のアレルギーがある場合は与えない
稀にウリ科の果物や野菜でアレルギー反応を起こす犬がいます。これまで食べ物で何かしらアレルギーを発症したことがある場合は、念のためスイカを与えるのは控えましょう。
もしもスイカに対してアレルギーがある場合は、下痢、嘔吐、湿疹、発疹、皮膚の赤み・かゆみ・腫れなどのアレルギー症状が出ます。様子がおかしいと感じた場合は、すぐにかかりつけの動物病院に相談するようにして下さい。
水分が多いので与える量に気をつける
スイカは90%が水分でできています。適量を食べることは良い水分補給にもなりますが、与え過ぎると消化不良や下痢・軟便の原因となるため注意しましょう。
1日に与えてもいい量は、生のスイカ30g程度までです。もともとお腹が緩くなりやすい犬には、量をもっと減らす、あるいは敢えて与えないようにすることも大切です。
腎臓や肝臓にトラブルがある場合は控える
スイカをちょっと食べたからといって何か大きな問題になるわけではないのですが、肝臓病や腎臓病を抱えている場合は念のためスイカの摂取を控えるようにしましょう。
なぜかというと、スイカにはβカロテンが100gあたり約830μgも含まれているからです。犬は他の動物よりも、βカロテンからビタミンAに変換する作業が活発に行われます。
つまり、βカロテンを摂り過ぎるとそれだけビタミンAが体内(とくに肝臓)に蓄積されてしまうため、肝臓や腎臓といった内臓の負担も大きくなってしまいます。食べさせる際は、かかりつけの獣医師に相談した上で与えることをおすすめします。
【スイカの栄養素】犬にはどんなメリットがあるの?
次に、スイカの栄養素と犬にとってのメリットを紹介していきたいと思います。
栄養素については「五訂日本食品標準成分表」を参考にしています。すべて100gあたりで計算されています。
低カロリーなのでダイエット中にも適したおやつ!
エネルギー | 37kcal | 灰分 | 0.2g |
水分 | 89.6g | 灰分飽和脂肪酸 | - |
タンパク質 | 0.6g | 不飽和脂肪酸 | - |
脂質 | 0.1g | コレステロール | 0 |
炭水化物 | 9.5g | 食物繊維 | 0.3g |
スイカは100gあたり37kcalと低カロリーです。また、スイカに含まれるアミノ酸の一種「シトルリン」が、血流を良くして代謝を活発にしてくれる働きがあります。
人間のように「スイカを食べてダイエット」というわけにはいきませんが、肥満気味な犬にも適した果物と言えるでしょう。ただし、糖質は決して低くないので与え過ぎには注意です。
βカロテンが豊富に含まれている!
βカロテイン | 830μg | ビタミンB6 | 0.07mg |
ビタミンE | 0.1mg | 葉酸 | 3μg |
ビタミンB1 | 0.03mg | パントテン酸 | 0.22mg |
ビタミンB2 | 0.02mg | ビタミンC | 10mg |
ナイアシン | 0.2mg |
スイカにはβカロテン(カロテノイドと呼ばれる色素の一種)が豊富に含まれています。
犬の場合は体内でβ-カロテンをビタミンAに変換する性質を持っているため、過剰摂取によるビタミンA中毒には気をつけておきたいものです。とくに肝臓や腎臓の機能がひどく低下している犬、赤血球の数が少ない犬には注意しましょう。
筋肉の強化に欠かせないカリウムが含まれている!
ナトリウム | 1mg | マグネシウム | 11mg |
カリウム | 120mg | リン | 8mg |
カルシウム | 4mg | 鉄 | 0.2mg |
バナナやメロンほどではありませんが、スイカにもカリウムが含まれています。
カリウムは摂取し過ぎると高カリウム血症を引き起こす恐れもあるため注意しなければなりませんが、適度に食べることで筋肉の強化や血流の改善が期待できます。
犬はスイカを食べてもOKですが、好きだからと言ってわざわざ毎日食べさせるべき果物でもありません。これが飼い主さんに心得ていただきたい、犬とスイカの付き合い方です。
基本は、ちゃんと栄養のあるご飯を食べさせてあげることです。おやつや果物選びに集中するのもいいですが、まずはベースとなる食事をしっかり管理するようにしましょう。
その上で、夏バテや熱中症対策としてスイカをたまに食べさせるくらいに留めておくといいですね。スイカが嫌いな犬に無理やり食べさせる必要もありません。