
心や体の不調、あるいは病気による食欲不振でない限り、犬がご飯を食べないということは基本的にほとんどありません。なぜなら、犬は食べることが大好きだからです。
あまり元気がなく2~3日ご飯を食べない日が続く場合は、病気や体の不調を疑いましょう。この記事を読み進めるよりも先に、かかりつけの動物病院に相談するようにして下さい。
ここでは、犬がご飯を食べない10の理由とそれぞれの対処法について詳しく解説していきたいと思います。
目次
犬がご飯を食べない10の理由と対処法!
病気による食欲不振も含め、犬がご飯を食べない10の理由とそれぞれの対処法について解説していきます。
わがままになっている
基本的に、犬は餌に飽きるということはありません。
もし愛犬がご飯を食べてくれない場合、それは餌に対する飽きではなく、ほとんどが飼い主さんの行動による犬のわがままが原因です。
たとえば、
- ご飯を食べない代わりにおやつを与える。
- ご飯の代わりに人間の食べ物を与える。
- 飽きたからと勝手に判断してフードをコロコロ変える。
といったことをしてしまうと、犬は「食べなければもっといいものが貰える」と学習します。
「おやつは食べるけどご飯は食べない」といった悩みを持っている家庭の犬は、だいたい飼い主さんが上記のようなことを過去にしてきたケースがほとんどです。
おやつはあくまでもおやつであって、ご飯の代わりにはなりません。犬が健康的に生きていくために必要な栄養素がおやつには十分に含まれていませんから、きちんと栄養のあるご飯を食べてもらうようしつけることが大切です。
また、犬に人間のご飯を与えることは好ましくありません。犬が食べてはいけない危険な食品も数多く存在する上に、犬にとっては味付けが濃く、不要な添加物も多く含まれています。
犬が人間用のご飯やお菓子など食べ続けると、肥満、糖尿病、慢性腎不全などのリスクをグッと高めてしまうので十分に注意しましょう。
対処法
まずは栄養のあるご飯を用意しましょう。ドッグフードであれば総合栄養食が望ましいですね。
そこですんなり食べてくれれば、それで良しとします。食べてくれたことに感謝して褒めてあげましょう(ここであまりおやつを与えないようにすることが大事です)。
反対に、出したご飯を食べずに他の食べ物を待ち続けている場合、以下のように対処します。
- ご飯を20~30分ほど出しておき、それでも食べなかったら下げて処分をする(ここで可哀想だからといっておやつなどを与えてはいけない)。
- ちゃんとご飯を食べるまで、食事のたびに1番を繰り返す。
犬は、お腹が空けば高い確率でご飯を食べてくれます。「もう待っていてもおやつは貰えない」と犬が学習できるようになれば、空腹に負けてご飯を食べてくれるようになります。
食べないからと他の食べ物を与える行為を繰り返していると、いつまでたっても改善されません。また、犬の健康のためにもなりません。
「何も与えないのは可哀想…」ではなく、きちんとしたご飯を食べるようしつけられていない犬が可哀想であることを知っておくことが大事です。
ドッグフードの匂い・味・質感が気に入らない
犬は、におい・味・質感でご飯のおいしさを判断しています。
食欲のそそる匂いがしない、風味が質素、歯触りが悪いといったドッグフードを与えると、そのドッグフードをなかなか食べてくれないこともあります。これは飽きとはまた異なる話なので誤解しないようにしましょう。
また、各症状に合わせた療法食は嗜好性を左右する脂肪分が大幅にカットされているものも多いです。犬にとっては美味しさを感じにくいため、食いつきが悪い傾向にあります。
対処法
犬がついつい食べたくなるようなドッグフードを提供できるよう、以下の方法を取り入れてみるといいでしょう。
- ドライヤーで人肌程度に温めたり、ぬるま湯でふやかして香りを引き立てる。
- 動物性原料をちょっと増やしてみる(お肉のトッピングなど)。
- ドライフードなら細かく砕いて口当たりを良くしてみる。
- ヨーグルトをちょっとだけプラスしてみる。
トッピングだけを食べてしまう癖のある犬は、ドッグフードとよく混ぜて出すことで改善されやすくなります。
また、ドッグフードに何かトッピングする際は、必ずトッピングの栄養素を考えた上でドッグフードの給餌量を決めるようにしましょう。
ドッグフードのふやかし方については、以下の記事で詳しくまとめています。
もともと食が細い
犬にとって食事は大きなイベントですが、中には生まれつき食が細い子、食事よりも遊ぶことが好きな子もいます。実は我が家の愛犬も小食なタイプです。
とくに小型犬種は食が細い傾向にあり、中でもトイプードル、ポメラニアン、チワワ、パピヨン、ペキニーズなどの食の細さはよく耳にします。
対処法
食が細い犬に無理やり食べさせる必要はありません。むしろ、食べ過ぎによる消化不良や肥満が心配なので、もともとたくさん食べない子には栄養価の高いご飯を与えるといいでしょう。
まずは獣医師に愛犬の体格をチェックしてもらい、今の食事量で栄養が足りているか足りていないかを確認してもらうことをおすすめします。
子犬の成長が落ち着いてきた
愛犬は今、成長期の子犬ですか?もし生後4~6ヶ月くらいの子犬でしたら、急にご飯への食いつきが悪くなることもあるので深く心配する必要はありません。
子犬の成長がある程度落ち着いてくると、それまでに必要としていたエネルギー量がいらなくなります。これ以上は栄養を摂らなくてもいいよ~と体がサインを送り始めるため、なんとなくご飯を食べてくれなくなったように感じることもあるのです。
ただし、中には体調不良やドッグフードが食べづらいといったことが原因になっている場合もあります。必ずしも成長のピークが過ぎたからとは言い切れないので注意しましょう。
対処法
子犬の成長ピークが過ぎたら、ご飯の量やカロリーを少しずつ減らしていきましょう。
1日の目安量を食べることができていて、さらに体重の減少がなければさほど心配する必要はありません。念のため、毎日のうんちはしっかりとチェックしておきましょう。
子犬がご飯を食べない理由や対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。
老化による消化機能や代謝機能の低下
犬も老化が始まると消化率や代謝率が低下し始めます。また運動量の減少から若い時ほどエネルギーを必要としなくなり、結果としてご飯をまともに食べなくなることもあります。
ただし、老犬の場合は病気からくる食欲不振も多いことを知っておかなければなりません。
必ずしも消化機能の低下とは限らないので、様子がおかしいと感じた場合はかかりつけの動物病院に相談するようにしましょう。
対処法
老犬がご飯を食べない理由にはいろんな原因がありますが、単純に食べづらいと感じている場合は以下の方法を取り入れることで改善されることもあります。
- 消化の良い食材を使ったご飯に切り替える。
- 噛みやすいご飯に切り替える。
- 1回の給与量を減らして回数を増やしてみる。
- 新鮮な水を常に置いておく。
- ご飯を食べやすい高さに置く。
シニア期に入ったら、できるだけ高タンパク・低脂肪・低カロリーの消化性の高い食事を与えるようにしましょう。
そして高齢期に入ったら低タンパク・低脂肪・高カロリーの食事に切り替え、少量でもしっかりエネルギーを補給できるようにしてあげて下さい。
なるべく半年に1回は定期検診を行い、体重や体の調子などを確認することを強くおすすめします。
ストレスを抱えている
愛犬にストレスを感じている様子はありませんか?犬もストレスを感じると、人間と同じで食欲に影響が出ることもあります。
ちなみに、犬はこんな場面で強いストレスを感じやすいです。
- 不衛生な環境で飼育されている。
- 苦手な人間や犬猫が身近にいる。
- 飼育環境がガラリと変わった。
- お留守番の時間が長い。
- 運動不足が続いている。
- 飼い主さんに構ってもらえてない。
- ドッグフードが何度もコロコロ変わる。
ストレスは食欲不振といった原因をつくり出すだけでなく、嘔吐、下痢、破壊行動、吠え癖、噛み癖なども引き起こしやすくするので十分に注意しましょう。
対処法
もしストレスの原因が分かるのであれば、すぐに改善をしましょう。思い当たる節がない場合は病気の可能性もありますので、かかりつけの動物病院で診てもらうことをおすすめします。
まずは日頃から愛犬の生活環境を見直し、負担になっていることはないか?居心地悪くなっていないか?など、愛犬目線で確認をすることが何より大切です。
また、愛犬と十分なコミュニケーションをとるよう心掛けて下さい。
1回のご飯の量が多い
1回あたりのご飯の量は適正ですか?ごく稀に、1日の給餌量を1回の給餌量だと勘違いしてご飯を与えている飼い主さんがいます(実際に私の友人がそうでした)。
1回のご飯の量が多いと、その後お腹が空きにくいのでご飯を食べてくれないこともあります。
その犬に合ったご飯のエネルギー量を計算して与えないと、肥満や病気を誘発しやすくするため十分に注意しましょう。
対処法
愛犬に合った量のご飯を与えられるよう、ドッグフードであればパッケージ記載されている給餌量の目安を必ず参考にするようにして下さい。
口の中にトラブルがある
口の中で何かトラブルが起きていると、痛みや違和感からご飯を食べないことがあります。食べたとしても、すぐに吐き出してしまうこともあるでしょう。
他にも、食べづらそうにしている、口臭がきつい、よだれが出るなどの様子も同時に見受けられることもあります。
この場合の考えられる原因はたくさんありますが、代表的なもので言えば口の中を切った、口内炎、歯が痛い、歯周病、歯肉炎、のどの炎症などが挙げられます。
対処法
口の中で何が起きているのかを把握するのは難しいため、食べる時の様子がおかしいと感じた場合はかかりつけの動物病院で診てもらうようにして下さい。
歯や歯茎のトラブルに関しては、日頃から歯のお手入れを行っていれば予防できるもあります。食べた後は口の周りを拭く、毎日歯磨きをするなどして、歯の健康維持に努めましょう。
病気や何かしら不調がある
犬が2~3日ご飯を食べない場合、疑うべきものは体の不調や病気です。
ご飯を食べない以外にも、以下のような様子や症状を見せたら何かしら不調を抱えている可能性が高いです。あくまでも一例として参考にして下さい。
- 嘔吐
- 何度も吐く
- 下痢
- 水を飲まない
- おやつも食べない(反応しない)
- 元気がない
- 体が震える
- ずっと寝ている
- 体重が極端に減った
- ぐったりしているなど
どんな不調を抱えているのか、どんな病気にかかっているのかは動物病院を受診するまでは分かりません。
とくに高齢犬は肝臓や腎臓などの内臓疾患にかかりやすいです。
また年齢に関わらず、誤飲誤食による食道や胃腸へのダメージ、春~秋にかけては熱中症や夏バテなども考えられます。
対処法
日頃から病気の予防を意識してあげることが一番重要ですが、それだけでは防げない病気もたくさんあります。
もし食欲不振以外にも、下痢、嘔吐、震える、高熱、元気がないなどが見られたら、必ずかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。たとえ見られなくても、2~3日ご飯を食べない日が続いたら必ず獣医師に相談するようにして下さい。
また、日頃から愛犬のボディや様子をしっかり観察し、小さな異変でもすぐ気づけるようにしておくことが大切です。
愛犬と十分にコミュニケーションをとることで、病気の早期発見・早期治療にも繋がることもあります。そして、ワクチンの予防接種や検診は毎年受けておくようにしましょう。
生理(ヒート)中である
メス犬で避妊手術をしていない場合、だいたい生後6~9ヶ月頃から生理(ヒート)がはじまります。
生理は毎回4段階に分かれるのですが、最初にやってくる「発情前期」と、その次にやってくる「発情期」の時は食欲が低下します。
これは「エストロジェン」というホルモンが盛んに分泌されるためです。この影響で、一時的に食欲が落ちて元気もなくなります。
対処法
生理が原因で餌を食べない場合、とくに心配する必要はありません。これはごくごく自然なことなので、むやみに心配してトッピングなどを与えるようなことは控えておきたいものです。
時期が過ぎれば、またいつも通りの食欲を見せてくれるでしょう。
犬が何日ご飯を食べない日が続いたら動物病院へ行くべき?
日数はあくまでも目安ではありますが、愛犬が2~3日ご飯を食べない日が続いたら動物病院へ連れて行きましょう。もう少し様子を見ようといった判断はしないことが大切です。
もしも愛犬が慢性腎不全や末期のガンだった場合、少しでも早い発見が命を救うこともあります。発見が遅れたがために命を落としてしまうケースも少なくありません。
また、その病気に合った過ごし方や食事が必要になってきます。ネットで情報を集めて自己解決しようとせず、必ず獣医師の指示を仰ぐようにして下さい。
犬に元気ない場合は日数に関わらず動物病院へ!
愛犬に元気がない場合、日数に関わらず早めに動物病院を訪れるようにして下さい。病気以外にも、誤飲誤食や中毒性のあるものを食べたなどさまざまな原因が考えられます。
とくに4月から秋にかけては犬の熱中症も増える時期です。日頃から対策をして熱中症を予防をするのはもちろんのこと、夏バテしないよう水分補給や食事管理にも気を配りましょう。
犬がご飯を食べない原因は本当にさまざまです。
わがままや病気によるご飯を食べないはたしかに多いのですが、固定概念を持ってしまうと他の異変に気づけないこともあるため気をつけましょう。
ご飯を食べない時は、まずいろんな角度から考えてみることが大切です。もしかしたらドッグフードが原因かもしれないし、ストレスが溜まっているのかもしれません。
日頃から愛犬とよくコミュニケーションをとり、ボディや心の様子もきちんと確認するようにしましょう。
「犬は言葉を話さないから分からない!」ではなく、愛犬の心にちゃんと寄り添うことで原因が見えてくることもあります。