犬も人間同様、シニア期・高齢期に入ると若いときほどご飯を食べなくなるものです。これは代謝率や内臓機能の低下などが関係していますね。
犬がご飯を食べない時の理由や対処法については「愛犬がご飯を食べない原因はわがまま?病気…?10の理由と対処法!」で解説しましたが、ここでは老犬がご飯を食べない6つの理由とそれぞれの対処法について具体的に解説していきたいと思います。
老犬に起こりやすいご飯を食べない原因をいろんな角度から知り、ぜひご愛犬のシニアケアに役立ててみて下さい。
目次
老犬がご飯を食べない6つの理由と対処法!
病気による食欲不振も含め、老犬がご飯を食べない6つの主な理由とそれぞれの対処法について解説していきます。
運動量・基礎代謝が低下している
年を重ねるごとに運動量が減っていく老犬は多いものです。とくに足腰が弱い老犬は自ら歩くことを嫌がることも多いため、ほとんど寝たきり状態になってしまうこともあるでしょう。
こうすると代謝率もグンと下がり、成犬の時のようにたくさんのエネルギーを必要としなくなります。
「あれ?前ほど食べなくなったな…。」と感じた時は、以前よりエネルギーを消費することが少なくなってきたサインです。
シニア期に入ったばかりの頃はあまりそのような様子は感じられませんが、年齢を重ねていくと徐々にそのような様子が顕著に表れるようになってきます。
対処法
運動量も減って代謝率が下がってきた老犬にご飯をたくさん食べさせてしまうと、消化不良や肥満の原因となるので十分に注意しましょう。
老犬の肥満は関節に大きな負担をかけるほか、心臓や腎臓などの内臓疾患、糖尿病などのリスクも高めてしまいます。
シニア期に入った頃から食事の量を少し減らすようにし(ドッグフードなら15%ほど減らす)、肉や魚由来の良質なタンパク質の摂取量を上げるという方法がおすすめです。(持病がある場合は獣医師の先生のアドバイスに従う)
良質なタンパク質を摂ることで、筋肉量を維持しやすくなります。もしまだまだ元気に動けるようであれば、足腰の弱りを防ぐためにも適度な散歩や運動を心がけましょう。
ちなみに小型犬の場合、7歳を過ぎると代謝が落ちて太りやすくなり、10歳を過ぎると消化・吸収能力が落ちて痩せやすくなると言われています。
シニア用のフードの場合、7~10歳はカロリー控えめ、10歳以上はカロリー多めで作られていることもありますので、フード変更後は特に体型チェックをこまめにしてフードの給与量を決めることをお勧めします。
消化機能が低下している
健康な犬であれば消化機能が極端に落ちることはありません。
ところが、何かしら疾患を抱えていたり、もともと消化不良を起こしやすい体質だったりすると、加齢とともに消化能力がグッと低下し始めます。
こうなると食べたものをうまく消化することができなくなっているため、食べても吐いてしまったり、嘔吐・下痢を繰り返したりなどの症状も見られることもあります。
また、シニアになると、若い頃は数日で治っていた消化器症状が、なかなか治らず長引くことも多いです。長く続けば続くほど、治るのにも時間がかかりますので、早めにかかりつけ医を受診しましょう。
対処法
胃腸への負担を軽減するためにも、できる限り脂肪の多い食品を避け、ご飯は1日2~3回に分けて与えるようにしましょう。一度にたくさんの量を与えると上手に消化しきれません。
また、硬いドライフードをそのまま食べさせるよりも、水分を多く含んだウェットフードや手作り食に切り替えた方が消化もしやすくおすすめです。
経済的に難しい場合は、質の良い低脂肪ドライフードをぬるま湯でふやかしてあげるといいでしょう。ラム肉は消化に時間がかかるので、鶏肉ベースのドッグフードが好ましいです。
ただし、嘔吐や下痢を繰り返している場合は必ずかかりつけの動物病院に相談をするようにして下さい。他の病気が原因となっている場合もあります。
嚥下能力(飲み込む力)が低下している
犬も人間同様、加齢ととともに食べ物を飲み込む力が少しずつ弱くなってきます。
飲み込む力が弱くなっていると食べてもむせてしまう、逆流してしまうといった様子を見せるようになり、食べたくても食べられない…そんな状態に陥ってしまう犬も少なくありません。
ひどい場合は飲み込んだものが誤って気管から肺に入り込み、肺炎を起こしてしまう場合もあるので注意しましょう。
嚥下能力が低下する原因には、喉や首周りの筋力の衰え、歯に痛みがある、咽頭(部)に炎症や腫瘍がある、脳炎などがあります。
対処法
ご飯を食べる度に咳き込んだりむせることが多い場合は、いつものご飯に水分を含ませてペースト状にしたり、レトルトフードやウェットフードを利用してみるといいでしょう。
ドライフードを利用している場合は、ぬるま湯でふやかして軽くつぶしてあげると喉ごしも良くなります。
ご飯が食べづらい
愛犬がご飯を食べる時、台などを使って食べやすい高さになっていますか?
飲み込む力が弱くなってくると、顔を下げてご飯を食べる姿勢がつらくなってきます。また、食べたものがきちんと胃に送り込まれなくなり、逆流の原因となるため気をつけましょう。
対処法
犬の食事用テーブルを使い、四足歩行状態で頭の位置が下がらない程度の高さでご飯を食べさせるようにしましょう。頭~背中がまっすぐの状態がベストです。
こうすることで飲み込みもしやすくなり、また前肢や首への負担も軽くなります。
ご飯をおいしく感じていない
シニア期に入ると嗅覚・味覚もだんだん衰え始めていきます。
今まで食べていたご飯にも喜んで反応しなくなったり、匂いを嗅いだだけで食べないといったことは思いのほかよくあることです。
また、シニア犬用のドッグフードは低脂肪でライトな仕上がりになっているものも多いため、フードそのものへの食いつきが悪くなってしまうこともあります。
対処法
いつものご飯をなかなか食べてくれないようでしたら、まずはいつもと異なるフードをちょっと混ぜてみたり、あるいは茹でた肉や魚などを少量トッピングしてみましょう。
ドライフードならぬるま湯でふやかして香りを引き立てたり、犬の栄養学を勉強して手作り食を取り入れてみるという方法もおすすめです。
ただし、食事内容の急激な変化は老犬の胃腸へ大きな負担をかけてしまいます。切り替える時は、いつものご飯にちょっと混ぜながら少しずつ切り替えていきましょう。
病気や何かしら不調がある
老犬の場合、病気や体の不調による食欲の低下も珍しくありません。
若い頃は免疫力もそれなりにあるので病気を引き起こしにくいのですが、加齢とともに免疫力が低下し、体調を崩すたびに病気を発症しやすくなるのは犬も人間も一緒です。
とくに高齢犬ほど病気を抱えやすく、代表的なものでいえば悪性腫瘍(ガン)、腎不全、糖尿病、心臓病などがあります。
他にも老犬が抱えやすい病気に認知症があり、この場合は食べたばかりなのにまたご飯を欲しがる、食欲が異常に増えるなどの様子が見られることもあります。
対処法
愛犬がどんな不調を抱えているのか、どんな病気にかかっているのかは動物病院を受診するまでは分かりません。
あくまでも一例ではありますが、もしも愛犬が以下の様子を見せいたら早めに信頼のできる獣医師に相談するようにしましょう。
- 食欲が落ちた
- 食欲が異常に増えた
- 水をたくさん飲む
- 何度も吐く
- 嘔吐
- 下痢
- 咳が出る
- 呼吸が荒い
- 血尿
- 血便
- おしっこをたくさんする
- おしっこが出にくい
7歳を迎えたら半年に1回は健康診断を受け、何か気になることがあったら獣医師に相談をできるような環境をつくっておくことが大切です。
犬がシニア期に入ったらどんな食事を心がけるといいの?
犬もシニア期を迎えたら、できるだけ消化にやさしい食事を心がけるほか、以下の成分が含まれた食事に切り替えて健康をサポートしてあげましょう。
- 抗酸化成分が含まれた食事(ビタミンE、ビタミンC、オメガ3脂肪酸、ポリフェノールなど)。
- 関節軟骨成分が含まれた食事(グルコサミン、MSM、コンドロイチンなど)。
抗酸化成分が含まれた食事を心がけることは、体の細胞にダメージを与える活性酸素の生産量を抑えることにも繋がります。
グルコサミンやコンドロイチンなどは、サプリメントを活用するのも1つの方法ですね。最近はこれらの成分が含まれたドッグフードも増えてきています。
また、犬も加齢とともに唾液の分泌量が減るので、歯肉炎や歯周病予防のためにも毎日の歯磨きは忘れずに行いましょう。歯磨きは口臭や歯石の予防にもなります。
すでに歯に痛みがあり歯磨きを嫌がる場合には、まず動物病院を受診しましょう。
老犬がご飯を食べない場合、子犬や成犬の時とは違う原因が潜んでいるかもしれないと思うことが大切です。
高齢になるほどいろんな病気を抱えやすくなるため、7歳を迎えたら信頼できる動物病院のもとで半年に1回は健康診断を行い、獣医師に愛犬の様子やボディを直接チェックしてもらいましょう。病気やトラブルの早期発見にも繋がります。
また、日頃からご飯を食べにくそうにしていないか?口の中にトラブルはないか?など、飼い主さん自身もできる限り愛犬の様子を毎日チェックするようにして下さい。
愛犬にとって快適な食生活にしてあげることで、それが健康で長生きする助けとなります。