愛犬がスムーズに歯磨きをさせてくれない……とお悩みの飼い主さんは多いかと思います。
犬の歯もきちんとお手入れをする必要があるため、うまくいかないからと放置するのは愛犬の健康のためにもよくありません。
そこで今回こちらでは、愛犬の歯磨きをうまくできるようになるためのコツやおすすめのグッズなどを、獣医師の先生監修のもとお伝えしていきたいと思います。
目次
【歯周病・内蔵系病気を予防】健康のために犬の歯磨きは必要!
犬は虫歯になることは滅多にありませんが、ちゃんとケアをしないと歯周病や歯肉炎にはなります。歯周病の原因は歯垢(しこう)!これが固まっていくと歯石(しせき)になり、そこから歯周病が進んでいってしまうんです。
そして、重度の歯周病になると食べ物を噛めなくなったり、あごの骨が折れることにつながります。
歯石や歯周病は口腔内だけではなく、腎臓病や心臓病の引き起こす原因にもなり得るので、愛犬の健康長寿のためにもお口の汚れを落とすことが重要です。
愛犬の命を守ることを考えると、たとえ歯磨きを嫌がっていたとしても、根気強く慣れさせていかなければなりません。
もし途中で諦めてしまえば、歯石の蓄積、歯周病や歯肉炎を引き起こすリスクがグッと高くなることは覚悟しておいた方がいいでしょう。
愛犬に歯磨きをする時の4つの心構え!
- 歯磨きに慣れるまでは、何日も何週間もかかるものだと思うこと。
- 焦らずにゆっくりと歯磨きをすること。
- 歯磨きが楽しいものだと思わせること。
- 1日1本磨けただけでも良しと思うこと。
実は、最初からおとなしく歯磨きをさせてくれる犬はほとんどいません。我が家の愛犬も、歯磨きに慣れるまで1年はかかりました。それでもたまに嫌がる時もあるくらいです。
ただし、若い犬でなければ覚えられないというわけではありません。10歳でも15歳でも、練習することで歯磨きは楽しいものだと分かってくれるようになります。
ポイントは「焦らずにゆっくりと慣れてもらう!」これにつきます。はじめは1日1本磨けただけでもラッキーと思うようにしましょう。いきなり完璧にやろうとしないことが大切です。
犬の歯磨きに必要なおすすめグッズはこれ!
グッズの 画像と名前 |
特徴 |
---|---|
ガーゼor 歯磨きシート |
本格的な歯磨きの前の慣らしで使用するアイテム。歯磨きシートはガーゼよりも使い勝手が良い。 |
歯ブラシ |
犬専用の歯ブラシで、ヘッドが小さく操作しやすいものがおすすめ。 |
歯磨き粉 歯磨きジェル |
犬専用の歯磨き粉。あると便利だけど、無くてもOK。 |
最初からいきなり歯ブラシを使った歯磨きを行うのは、難しい場合が多いです。まずはガーゼや歯磨きシートなどを使用して、徐々に慣れさせていきましょう。
慣れてきたら本格的な歯磨きをするために歯ブラシを用意します。犬の口はヒトの口よりも小さいので、ヘッドが小さい+操作がしやすいものがおすすめです。(奥までちゃんと届きやすい◎)
ちなみに、歯磨き粉やジェルはあってもなくてもOK!ただ最近はチキン味のする商品などもあるので、楽しい歯磨きにするためにもあると便利かもしれませんね。
【簡単】犬の歯磨きのやり方7つのステップ!
- 口まわりを触る
- 口の中を触る
- ガーゼor歯磨きシートを使う
- 歯ブラシに慣れてもらう
- 歯ブラシで外側を磨いてみる
- 歯ブラシで内側を磨いてみる
- 上手にできたら褒めてあげる
こちらでは、犬の正しい歯磨きのやり方を画像付きで分かりやすくお伝えしていきますね。
口まわりを触ることに慣れてもらう
いきなり歯ブラシを持って口を開けさせようとすると、だいたいのコは嫌がります。なのでまずはいったん歯ブラシを横に置いて、口まわりをやさしく触ることから始めましょう。
愛犬がリラックスしている時にやると、スムーズに口まわりを触らせてくれることが多いのでおすすめです。
そして、最も重要なのがご褒美!お口の周りを触らせてくれたら「ありがとう」と褒めてあげたり、普段から好んで使うおもちゃで一緒に遊んだりしてください。
「お口を触ってもらうこと=楽しいこと」と思ってもらうことが歯磨きができる近道になります。
口の中を触ることに慣れてもらう
口まわりを触らせてくれるようになったら、今度は口の中を触ってみましょう。唇をやさしくめくって指を入れるようなイメージで行うと、スムーズにいきやすいのでおすすめです。
ここで強く抵抗する場合には、無理せずPOINT1の「お口周りのタッチ」に戻ってください。お口周りのタッチができた時にはおもいきり褒めてあげて、嫌な思い出を残さないように心がけましょう。
ガーゼor歯磨きシートを使って、歯をこすってみる
- ガーゼを人差し指に巻きつける。
- その指で歯と歯茎をマッサージするように触る。
続けて、ガーゼや歯磨きシートを使った歯磨きにチャレンジしてみましょう。
乾いたガーゼを使うと摩擦が生じて嫌がることもあるので、その場合は湿らせてから使うようにします。歯磨きシートの場合はすでに湿っているので、そのまま使ってかまいません。
はじめはマッサージせずに触るだけでもOKです。嫌がらなければ少しずつ奥歯の方へ指を進めていきましょう。
摩擦で痛い思いをさせると、歯磨きをさせてくれなくなる可能性もあるので、優しく行うのがポイントです。
歯ブラシ自体に慣れてもらう
さぁ、ここでいよいよ歯ブラシの出番です!いきなり歯ブラシを口の中に突っ込むのではなく、まずは歯ブラシ本体を顔に近づけて慣れてもらいましょう。
コツは、歯ブラシのにおいを嗅がせたり、歯ブラシを咥えさせてみたりすることです。「これは危険なものではない」と認識してもらうのが目的になります。
歯ブラシをスプーン代わりに使っておやつをあげたり、チキン味の歯磨き粉などを使うと歯ブラシに対する警戒感を和らげることができるのでおすすめです。
そして、歯ブラシを見ても嫌がらないようであれば、そのまま歯ブラシをやさしく口の中に入れてみましょう。
- いきなり歯ブラシを口の中に入れられた。
- 力強くブラッシングされた。
過去に歯ブラシで痛い思いをしたことがある犬は、「歯ブラシが嫌なもの」として映っています。トラウマをなくすためにも、必ずゆっくりステップを踏んでいきましょう。
汚れを落とし、痛みは感じない強さは100g~150gとされています。歯磨きをしていると、気が付かないうちにだんだんと強く押し付けていたということはよくあります。
ご自宅のハカリを歯ブラシで押していただくと、100gがどのくらいの力加減なのかが分かりやすいです。
歯ブラシで歯の外側を磨いてみる
歯ブラシを口の中に入れても大丈夫になったら、今度は歯ブラシで歯の外側を磨いていきます。はじめは歯磨きというよりは歯ブラシが歯茎に当たった、程度の接触で十分です。
この接触時間を少しずつ延ばしていって、一瞬触るだけだったのが1秒触れるようになった→触った後に1cmだけシャカっと動かせた→1往復だけシャカシャカっと磨けた、というふうになるのが理想です。
この時、歯ブラシを歯に対して45℃の角度で当てると、歯と歯茎の境目(歯周ポケット)の汚れをしっかりと落とすことができます。
歯ブラシで歯の内側を磨いてみる
歯の外側を磨かせてくれるようになったら、今度は口を開けて歯の内側も磨いていきます。
口を開けることを嫌がる場合は、この時にフレーバー付きの歯磨き粉を利用してみるのも良いでしょう。おそらく喜んで口を開けてくれるので、内側を磨きやすくなるかもしれません。
【各ステップの後】上手にできたら愛犬を褒める!
ちゃんと歯磨きをさせてくれたら、必ずご褒美を与えてたっぷり褒めてあげましょう。もちろん各ステップでも、上手にできたらその度に褒めてあげることが大事です。
「歯磨きって楽しいんだ♪」と思ってもらえるようになると、お互いに歯磨きがすごくラクになります。
犬の歯磨きの頻度は毎日が理想!嫌がる場合は無理のない範囲で。
犬の歯磨きは毎日行うのが理想とされています。ただ、なかなかそうはいかない場合もあるでしょう。
そんな時は、2日に1回、もしくは週に1回でも大丈夫です。やらない場合と比べると、歯と歯肉の健康維持に大きな差が生まれます。
無理のない範囲で定期的に続けることが一番大事なので、飼い主さんと愛犬がストレスを感じない程度に行いましょう。
もちろん効率よく磨けるようになったら、夜寝る前の歯磨きを毎日続けることをおすすめします。その時は1回1~2分の歯磨きでも大丈夫です。
【犬が嫌がる・噛まれる】試すべきおすすめの歯磨きグッズ6選!
- 歯磨きガム・おやつ
- 歯磨きシート
- 歯磨きジェル
- 歯磨きスプレー・液体歯磨き
- デンタルケア用おもちゃ
こちらでは、愛犬の歯磨きをサポートするグッズをいくつかお伝えしていきます。
もちろん、歯周ポケットの汚れを落とすのは歯ブラシしかできません。ただ、嫌がって歯磨きがうまくできない日用として、デンタル補助グッズをいくつか持っておくと便利なのでおすすめです。
【歯磨きガム・おやつ】手軽に歯石を落とす
- 唾液の分泌を盛んにして歯垢を落とす。
- 口内をきれいに保つ。
- 口臭を抑制する。
歯磨きガムだけに頼っても歯周病を予防することはできませんが、歯垢をつきにくくする効果は期待できます。
ただし、その効果を発揮させるためには、飼い主さんがガムを持ちながら右側で噛ませたり左側で噛ませたりして、一気に飲み込んでしまわないようにサポートする必要があります。
あっという間に食べてしまうと効果が激減するので、ちょっと引っ張ったりしながら与えてみましょう。
【歯磨きシート】歯の表面の汚れを落とす
- こすりながら歯の表面の汚れを落とせる。
- 歯ブラシに慣れる前の準備として活躍。
- 口腔内のマッサージになる。
歯ブラシを使い始める前の練習として、ぜひ使っておきたいのが歯磨きシート!我が家も歯磨きシートには本当にお世話になっていて、今でも愛用しています。
市販の歯磨きシートはすでに湿っているのでとても便利です。外出先でも使いやすいというメリットがあります。
口の中をマッサージすることで血流が促進され、歯肉の引き締め効果も期待できます。
【歯磨きジェル】舐めるだけでもOK
- 軽い歯垢の除去をサポートしてくれる。
- 口の中を傷つけてしまうリスクが少ない。
- 舐めるだけでもデンタルケアが行える。
歯ブラシに付けて使用する歯磨きジェルは、舐めるだけでもある程度のデンタルケア効果が期待できます。
犬が喜ぶような味の商品が多いので、おやつ感覚で舐めさせてあげるのも良いでしょう。
もちろん、しっかりと歯垢を落とすためには歯ブラシを使ったケアが必要です。しかし、こういった気軽に試せるアイテムから徐々にデンタルケアに慣れてもらう方法もアリだと思います。
【歯磨きスプレー・液体歯磨き】時間がない時におすすめ。水に入れるだけの商品も!
- 歯石をつきにくくする効果がある。
- 口臭を抑制する。
- 毎日継続して使いやすい。
歯磨きスプレー(液体歯磨き)は、歯磨きに時間をかけられない時におすすめのアイテムです。
歯ブラシに垂らして使ってもいいし、あるいは直接口の中にスプレーしてもいいでしょう。商品によっては飲み水に入れるだけでOKというものもあるので、気軽にデンタルケアが行えます。
【デンタルケア用おもちゃ】遊びながら口腔ケア
- 歯の表面の汚れを落とす。
- 歯の表面の汚れをつきにくくする。
- 楽しみながらケアをできる。
とりあえず日頃から小さなケアだけでもしておきたい!という飼い主さんにおすすめなのがデンタルケア用おもちゃです。
代表的なものでいえば、ロープやラバートイがあります。ヒヅメや骨などもありますが、硬すぎるものは歯が欠けてしまうこともあるので使い方には注意が必要です。
目安としては、指でおもいきり強く押すとへこむくらいの硬さであれば、歯が欠ける心配はほとんどありません。
ただし、デンタルケアのおもちゃを噛まないところのケアはできないので、結局のところ歯ブラシやその他のアイテムでお手入れをしてあげる必要があります。
犬の歯磨きに関するよくあるQ&A!
最後に、犬の歯磨きに関するよくある質問と答えをいくつかお伝えしていきます。
愛犬の口腔ケアはガムだけ。本格的な歯磨きは不要?
歯磨きガムはあくまでもサポートアイテムとして使用しつつ、歯ブラシを使った歯磨きをできるように練習する事をおすすめします。
愛犬の歯磨きをしたことがない。しないと寿命が縮むって本当?
確実に寿命が縮むと断定できるわけではありませんが、健康に悪影響を及ぼすことは間違いないでしょう。
愛犬にはできるだけ長い間健康でいて欲しい!とお考えであれば、デンタルケアを始めることを強くおすすめします。
老犬が歯磨きを嫌がる。おすすめの方法はある?
いきなり歯ブラシを使った歯磨きをするのはハードルが高いので、まずは手軽に試せる歯磨きガムや歯磨きシートなどを使ってみるのが良いでしょう。
若い犬と比べると時間はかかるかもしれませんが、根気よく向き合う事が大切です。
どれくらい犬の歯磨きをしないと歯石が溜まる?
一度歯石が付くとそこに歯垢が溜まる→歯石になるといった悪循環に繋がるので、歯磨きで取り除いてあげることが大事です。
子犬の歯磨きはいつから始めたら良い?
なぜこの時期から始めた方が良いかというと、早いうちから歯磨きに慣れてもらうためです。そうすれば、成犬になってからの歯磨きもスムーズに行えます。
歯磨きは超重要!愛犬の健康寿命サポートに繋がる。
- きちんと歯磨きをしないと、歯周病や歯周炎になる確率がグンと上がる。
- 犬の歯周病は、腎臓病や心臓病の原因にもなり得る。
- 歯磨きに慣れるまでは時間がかかる。根気よく続けるのが大事。
- 歯磨きができたら褒めてあげる。楽しいイベントだと感じてもらうのが大事。
- 理想の歯磨き頻度は毎日。難しい場合は、出来る範囲で行う。
- 歯磨きの補助グッズを使用するのもおすすめ。
人間のように虫歯ができるようなことは滅多にありませんが、歯周病や歯周炎にはなります。口腔トラブルだけではなく、腎臓病や心臓病の原因にもなり得るので犬の歯磨きはとても大切です。
最初から歯磨きをスムーズにさせてくれるコはなかなかいません。正しいステップで歯磨きを練習して、上手くできたらたくさん褒めてあげましょう◎
そうする事で、歯磨きを楽しい時間だと認識してくれます。愛犬の健康をサポートするためにも、根気よく向き合っていくことが大事です。