「犬にとうもろこしを食べさせて大丈夫なの?」とよく質問を受けます。
犬ととうもろこしに関する情報が数多く飛び交っているため、飼い主さんも何が正しくて何が間違っているのか分からなくなっているのが現状のようです。
ここでは、犬ととうもろこしの関係性、そしてドッグフードに使われているとうもろこしについて詳しく解説していきたいと思います。
目次
犬はとうもろこしを食べても大丈夫!子犬も食べていいの?
まず結論から言うと、犬はとうもろこしを食べても問題はありません。
とうもろこしには中毒症状の出る成分等がとくに含まれていないため、これが犬にとうもろこしを与えていい理由になります。
ただし、犬によってはとうもろこしが体質に合わない子もいます。また、与え方によっては犬の消化器官に負担をかけてしまうこともあるため気をつけた方がいいでしょう。
とくに消化器官が未発達の子犬や、消化機能が低下している成犬・シニア犬は、健康的な犬よりも消化することを得意としてません。与え方さえ気をつければ、子犬もシニア犬にも負担なく食べることができます。
犬にとうもろこしを与える際に注意しておきたい4つのこと!
とうもろこしの芯は与えない
まず、意図的にとうもろこしの芯だけを犬に与える人はいないと思います。しかし、芯ごととうもろこしを与えてしまう飼い主さんが少なくないため気をつけておきたいところです。
噛む力の強い犬だと、とうもろこしの芯も容易に噛み砕いてしまいます。噛み砕かれた芯をそのまま丸のみしてしまうと、喉に詰まって窒息したり、なかなか便と一緒に排出されず腸に詰まる腸閉塞になってしまう危険性があるため本当に注意しなければなりません。
とうもろこしの芯も一緒に料理する人間用のレシピがありますが、あれはあくまでも「人間用」です。
食物繊維の塊であるとうもろこしの芯はそもそも犬が食べるべきものではないため、必ず取り除いてから与えるようにしましょう。
小麦アレルギーの犬にはなるべく与えない
小麦アレルギーを抱えている犬がとうもろこしを食べると、アレルギーを発症してしまうことがあります。これは、とうもろこしが同じイネ科植物である米や小麦などと交差性抗原性が高いためです。
もちろん、コーンスターチや冷凍とうもろこしなどにも同じことが言えます。
とうもろこしを食べてアレルギーを発症すると、下痢、嘔吐、湿疹、発疹、皮膚の赤み・かゆみ・腫れなどのアレルギー症状が見られはじめます。様子がおかしいと感じた場合は、すぐにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
生ではなく加熱したとうもろこしを与える
とうもろこしを与える時は、必ず茹でてから与えるようにしましょう。
生のままだととうもろこしの皮が硬くて消化されにくいため、熱を通して柔らかくしてあげることで消化も比較的スムーズになります。
また、とうもろこしを粒のまま与えるとそのままうんちと一緒に排出されます。すり潰してペースト状にしてあげることで、より消化も容易になります。
与える量に気をつける
とうもろこしを与えていい量は、加熱したものを1日10g程度までです。お腹が緩くなりやすい犬や、消化機能が低下している犬には無理に10g与える必要もありません。
とうもろこしを食べ過ぎると、消化不良を引き起こしてしまうこともあるため注意しましょう。
【とうもろこしの栄養素】犬にはどんなメリットがあるの?
次に、とうもろこしの栄養素と犬にとってのメリットを紹介していきたいと思います。
炭水化物を多く含む高エネルギー食材!
エネルギー | 92kcal | 灰分 | 0.8g |
水分 | 77.1g | 灰分飽和脂肪酸 | 0.26g |
タンパク質 | 3.6g | 不飽和脂肪酸 | 1.03g |
脂質 | 1.7g | コレステロール | 0 |
炭水化物 | 16.8g | 食物繊維 | 3.0g |
とうもろこしの主成分は炭水化物(糖質)です。そして、粒のまわりにある皮は不溶性食物繊維のセルロースでできています。
とうもろこしがドッグフードによく使われているのは、犬にとっても大切なエネルギー源になるからです。しかし、とうもろこしの栄養素をきちんと生かしているドッグフードメーカーは数えるほどになります。
詳しくは後述しますが、とうもろこしの産地・使い道・どんな風に加工しているのかなど不安に感じる場合は、直接メーカーに尋ねると大体教えてくれます。
回答がなかったり、安全だから大丈夫といった根拠のない回答をしたメーカーは信用しない方が無難でしょう。
ビタミンB群を多く含んでいる!
カロテン | 53μg | ビタミンB6 | 0.14mg |
ビタミンE | 0.4mg | 葉酸 | 95μg |
ビタミンB1 | 1mg | パントテン酸 | 0.58mg |
ビタミンB2 | 0.15mg | ビタミンC | 8mg |
ナイアシン | 2.3mg |
ともろこしの胚芽部分には、ビタミンB群が豊富に含まれています。
とくに、体にエネルギーを効率よく回す働きのあるビタミンB1や、皮膚や粘膜などの健康維持やエネルギーの代謝を助けるビタミンB2が多く含まれています。
筋肉の強化に欠かせないカリウムが含まれている!
ナトリウム | - | マグネシウム | 37mg |
カリウム | 290mg | リン | 100mg |
カルシウム | 3mg | 鉄 | 0.8mg |
とうもろこし100gあたり約290mgのカリウムが含まれています。これは夏野菜のトマトやきゅうりよりもやや多めです。
カリウムは摂取し過ぎると高カリウム血症を引き起こす恐れもあるため注意しなければなりませんが、適度に食べることで筋肉の強化や血流の改善が期待できます。
ドッグフードに含まれるとうもろこしは安全?犬が食べても本当に平気なの?
とうもろこしは安価なタンパク源としてペットフードによく使われています。
使い方や処理の仕方はメーカーによって異なるため、すぐに「とうもろこし=犬にとって悪」と結びつけるのは好ましいことではありません。最近は知識なしにすぐこういう発言をするサイトが増えているため、飼い主さんが困惑するのも当然のことだと感じました。
一般的に、ドッグフードによく使われているとうもろこしは以下のように表記されます。
表記名 | 特徴 |
---|---|
とうもろこし(コーン) | とうもろこしの可食部のみを使うメーカーもあるが、ほとんどのメーカーが「外皮」「芯」「ヒゲ」など全ての部位を含めて「とうもろこし」と表記している。 |
コーングルテン | とうもろこしからデンプン(コーンスターチ)を作るときに得られる副産物。 |
コーングルテンフィード | とうもろこしからデンプン(コーンスターチ)を作るときに得られる副産物。主に外皮からなる。 |
コーングルテンミール | とうもろこしからデンプン(コーンスターチ)を作るときに得られる副産物。粗タンパクがコーングルテンフィードよりも高い。 |
「とうもろこし」といっても、実は製造過程によっても名称が異なります。また、ペットフードに使われるとうもろこしは、私たちがふだん食べるとうもろこしとも異なります。
さらに、家畜飼料同様、とうもろこしのあらゆる部分を含めて「とうもろこし」と表記しているメーカーも存在しているようですね。
ちなみに、私はこれまでいろんなドッグフードメーカーに直接問い合わせて、どういったとうもろこしを使っているのか?使っている目的は何なのか?を尋ねてきました。
その際、きちんと対応をして下さったメーカーはたったの1件です。
ここでは敢えて名前を出しませんが、こちらのメーカーは、
- とうもろこしの良質なタンパク質部分のみを取り出した原料(=可食部のみ)を使っていること。
- その部分は犬の健康にとってもプラスになること。
などを丁寧に回答して下さいました。
また、とうもろこしの芯やヒゲも一緒に使っているドッグフードがあるから混乱を招いているのは事実のようで、そういったドッグフードは犬の消化にも負担をかけ、やがて健康被害を及ぼす恐れがあるため気をつけなければならないことも教えていただきました。
つまり、ドッグフードに「とうもろこし」と書かれているからといって、すぐに「危険な商品」と結びつけるのは良くないということです。
またその反対で、とうもろこしだから安全だと思い込むのも危険だということです。
ドッグフードに使われるとうもろこしの安全性を見分けるのは、正直私でも難しいです。迷った時は購入しないことも、飼い主さんが身につけておきたい判断力なのかなと私は思います。
とうもろこしは犬も食べれられる穀物ですが、好きだからといってわざわざ毎日食べさせるべき食べ物でもありません。これが飼い主さんに心得ていただきたい、犬ととうもろこしの付き合い方です。
愛犬の健康を守るためにも、きちんと栄養のある食事を与えるようにしましょう。とうもろこしは、あくまでもおやつやトッピング用として活用することが大事です。
また、とうもろこしが嫌いだからといって無理に食べさせる必要もありません。愛犬の好みを尊重することも、愛犬からの信頼を得るために大切なことです。