トイプードルに限らずどんな犬を飼う場合でも、家族である人間とお互いよい関係で暮らすために必要なのが「しつけ」です。
とくにトイプードルは日本で大人気の犬種ということもあり、彼らのしつけや飼い方に悪戦苦闘している飼い主さんは非常に多いですね。
そこで当サイトは、トイプードルの子犬のしつけ方や飼い方について詳しくまとめてみました!
学習は成犬になってからでもある程度可能ですが、脳の発達を考えると子犬時代の対応が非常に重要です。ぜひ実行していただけたらと思います。
目次
【基本】そもそも何で犬にしつけが必要なの?
しつけは、人間と犬が楽しく暮らすために必要なことです。
基本的に犬の行動は人間とは異なります。家族として犬とよい関係を築くためには、飼い主さんがまず犬の行動を理解し、適切な対応を学んで、実践できるように犬に教えていく必要があります。
これができていないと、周囲の人に迷惑をかけたり、家族が好ましく思わないふるまいをしたり、犬の問題行動として現れる可能性が高くなってしまいます。
飼い始めたトイプードルが家族の一員として、また社会の一員として歓迎される存在となるように、しつけを行いましょう。
ただ、犬の発達には遺伝や生活環境など複数の要素が影響するため、性質や行動もさまざまです。
問題行動の予防方法に悩む場合は、早い段階で専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
昨今は子犬の教室やアドバイザーなど、専門的なケアを用意する動物病院も増えているので、相談するとよいでしょう。
トイプードルの子犬はいつからしつけをするべき?
基本的に、どの犬種も子犬期にある程度のしつけを済ませておく必要があります。
一般的には「子犬」「成犬」とざっくりと分けた言葉が使用されますが、人間の小学生がいきなり大人になるのではないのと同じように、犬の発達も段階を踏みながら進んでいきます。
犬の発達ステージは、以下のように考えられています。
- 新生子期:~約2週
- 移行期:約2週~約3週
- 社会化期:約3週~約12週
- 若年期:~性成熟まで(約6ヶ月~約12ヶ月まで)
- 成熟期~高齢期:性成熟を迎えて以降(個体差あり)
犬は成長とともにいろんな記憶を脳や体にしっかり染み込ませていきます。
成犬になってからの学習がまったく無理というわけではありませんが、人と生活する上で必要な知識や行動を教えることは、できるだけ早い時期からスタートするのが理想です。
トイプードルの子犬のしつけは「社会化期」を意識することが大切
トイプードルに限ったことではないのですが、子犬のしつけは「社会化期」が重要だと考えて、慎重に対応していきましょう。
子犬の各発達ステージではさまざまな学習が必要ですが、中でも社会に対して高い感受性を持っている時期だと考えられているのが社会化期です。
社会化期は、日々の経験やコミュニケーションを通じて、子犬が周囲の環境を受け入れ順応しやすい時期だとされています。
人間そのものや人間社会の物・音・ニオイに慣れ、これから生活をする上で出合う状況に無理なく適応していく力をつけるには大切な時期です。
犬の社会化期は生後約3週~約12週にあたります。
といっても、基本的にブリーダーやペットショップからお迎えする子犬は、少なくとも生後56日(8週)を過ぎています。
現在の日本の法律では、子犬の販売は生後56日(8週)を過ぎてからとなっているためです。子犬が母犬や兄弟犬と過ごし、犬同士のコミュニケーションを学んでおくことも大切だと考えられています。
したがって、一般家庭での社会期は長いケースで4週(1ヶ月)程度です。焦らずしつけを進めていくためにも、開始を先延ばしにしない方がよいですね。
トイプードルの子犬をお迎えしたら始めたいしつけの内容
- 自分の名前を覚えてもらう
- アイコンタクト
- スキンシップ
- トイレトレーニング
- 抱っこでの散歩
- ハウストレーニング
- お留守番トレーニング
上に代表的な例を挙げていますが、実際のところ、行いたいしつけの内容はお迎えしたトイプードルが社会で生活する上で必要な項目全てとなります。
ただ、それぞれの家庭の状況や犬種によっても項目は違ってきます。将来その犬が出合うシチュエーションを想定して、各家庭で追加の項目を書き足してみましょう。
その上で、子犬にできるだけ多くの経験をさせ、楽しく学習してもらうように心がけます。
基本的なしつけとしては、まずトイプードルの子犬に社会性を身に着けてもらうことから始めましょう。飼い主さんの関係性を築き、社会化を行うことがとても重要です。
飼い主さんが優しく声をかけたり、目を合わせたり、スキンシップを行ったりすることで愛情を伝えます。
そして、抱っこでの散歩で周辺の環境や社会に触れる機会を作りましょう。
本格的な散歩はワクチンプログラムが終わってからスタートさせますが、それまで外に出さないようにしていると、社会化期はまたたく間に過ぎてしまいます。
外出すると感染症を完全に予防することはできませんが、心の免疫をつけていくことも重要です。
感染源を避ける方法などについてはかかりつけの獣医師の指示をもらい、感染症の知識を適切に得ながら、心の免疫をつけていくことに努めましょう。
見知らぬ犬との直接的な接触を避けながら、抱っこの散歩に連れ出すのがおすすめです。
トイプードルのしつけはスキンシップがコツ!
スキンシップは、しつけだけでなく、家族との絆を深めたりお手入れをスムーズにしたりといった意味でも大切です。
犬によっては触られるのが苦手な場所もありますが、今後の生活でトリミングや動物病院に行く機会があることを考えても、なるべく全身を触ることに慣れてもらっておくのが理想です。
犬が触られるのが苦手な場所としては、足先やしっぽ・頭頂部などが挙げられます。
飼い主さんの手を避ける、びくっとするなどの反応があれば、そのトイプードルにとって触られたくない場所なのかもしれません。
最初は背中など、愛犬がなでられて気持ちがよさそうにする場所から始めましょう。
飼い主さん自身が気持ちに余裕のあるリラックスした状態でトライすることも大事です。優しく声をかけながらゆっくりとなでるのがコツ。
また、トイプードルの好物を与えて良い印象をつけながら触る練習をするのもおすすめです。
ある程度スキンシップに慣れてきて、なでられることは気持ちよいと知ってもらったら、その範囲を延長する形で少しずつ触れる場所を増やしていってくださいね。
それでは次に、飼い主さんが悩みがちなケースについて、しつけや対策方法をお伝えします。
トイプードルのトイレトレーニングが成功する5つの方法
トイプードルのトイレトレーニングは、家にきた初日から始めるのが基本です。なぜならトイプードルは室内犬なので、室内でちゃんと排泄できるようにしつける必要があるからです。
それでは、トイレトレーニングで大切な5つのポイントを紹介したいと思います。
「しそうなとき」はすかさずトイレへ誘導!
トイプードルが「しそうな様子」を見せたら、すかさずトイレへ連れて行きましょう。そのため、初日から家に誰もいないという状況はつくらないことをおすすめします。
- 寝起き(昼寝も同様)
- 遊んでいる時
- 食後
基本的に、トイレをしたくなる時の様子というのはすぐ分かります。そわそわして落ち着かなくなったり、後ろ足がぎこちなくなったりするといったサインを見せてくれますよ。
ちゃんとトイレができたら褒める!
トイレまで誘導したら、そこでトイプードルが排泄を済ませるまで待ちます。そして無事トイレが済んだら、ご褒美におやつをあげて思いっきり褒めてあげましょう。
トイレのサイズは大きめが鉄則!
トイレのサイズが極端に小さいと、排泄物がハミ出る原因となります。なるべく余裕のある大きさ、できればトイプードルがくるくると回れる大きさのトイレシートを用意しましょう。
また、トイレは常にきれいにしておくことです。犬はきれい好きな子が多いですから、排泄物で汚れているだけでトイレをしてくれません。
もし飼い主さんの不在時間が長くなりそうな時は、トイレシートを2ヵ所、あるいは2倍の大きさにして用意しておくことをおすすめします。
トイレと寝床は別にする!
トイレと寝床が一緒だと、これもトイレトレーニングを失敗させる原因となります。私たちだってトイレとベッドが同じなんて嫌ですよね?それと一緒です。
トイプードルが安心してトイレに集中できるよう、ちゃんと寝床と分けてあげましょう。
失敗しても感情的に怒らないことが大切!
初めからトイレトレーニングに成功する犬はほとんどいないです。失敗する度に感情的になって怒らないようにしましょう。
トイレの失敗は飼い主さんの管理不足が主な原因です。トイレの環境に問題がなかったか見直しをし、上記のように成功しやすい状況を作っていきましょう。
成功を重ねることでトイレトレーニングは順調に進んでいきます。
トイプードルの甘噛みの治し方と対策方法はこれ!!
トイレの次に多いしつけの悩みは「甘噛み」です。甘噛みをするのは子犬にとって仕事のようなもの。甘噛みによって学習や遊び・コミュニケ―ションを行おうとするのはごく自然なことです。とはいえ、甘噛みを放っておくと私たち人間を怪我させてしまうこともあるため、子犬の時期に必ず治すようにしましょう。
- 歯茎がムズムズしてなんだか痒い。
- 甘えたい・遊びたいという気持ちが高まっている。
- ストレスや不安・イライラを感じている。
歯茎がムズムズする甘噛みの場合
生後5ヶ月頃は歯が生え変わる時期でもあるので、歯がゆさから人間の手を甘噛みをしようとする子が多いです。しかし、それはすぐにやめさせましょう!
なぜなら次第に「人の手を噛んでもOK」と学習してしまうので、飼い主さんだけでなく他の人の手も噛んでしまいます。非常に危険です。
この場合の対策方法としては、誤飲や破損の心配のない、噛んでも大丈夫なおもちゃを与えるようにしましょう。
子犬が本能的に持つ噛む欲求を満たしてあげることもできます。おやつが入れられるタイプの知育玩具などがおすすめです。
甘えたい・遊びたいという気持ちが高まっている場合
甘えたい・遊びたいという気持ちが高まってくると、その延長線上で思いっきり噛んでくることもあります。
しかも飼い主さんが「痛い!」などと叫んで興奮すると、トイプードルは「飼い主が喜んでる・楽しんでる」と勘違いして甘噛みがエスカレートしてしまいます。
この場合の対策方法は、噛まれた時に何も言わずスッと立ち上がることです。「痛い!」などと大声で叱りつけてはいけません。そして背を向けてその場から立ち去りましょう。
これを繰り返すとトイプードルは徐々に「あれ?」と思うようになり、自分が噛んだことで遊んでもらえなくなると学習していきます。
ただ、個体差もあるため、すべての犬に効果があるとは限りません。また、飼い主さんの方からわざと手を噛ませるように仕向けてしつけをしようとするのは避けるべきです。
適切なタイミングを見て、根気よく対応していきましょう。
ストレスや不安・イライラを感じている場合
子犬がストレスや不安・イライラを解消しようとして、甘噛みが強くなることがあります。運動不足や環境の変化、あるいは体調不良も、考えられる原因の1つです。
まず飼い主さんが原因を把握することが大事です。
運動不足がストレスになっているようなら、散歩や公園へ行く時間を増やし、心地良い疲労感を感じる程度の適度な運動をさせましょう。
引っ越しなど環境の変化に心当たりがある場合は、トイプードルができるだけ安心して過ごせるスペースを作るようにします。
体の一部を触った時にのみ甘噛みの反応がある場合は、ケガや病気による痛みがある可能性も頭に置いておき、心配な場合は動物病院で診てもらうようにしてください。
トイプードルの無駄吠えの治し方と対策方法はこれ!
トイプードルは基本的に無駄吠えが少ない犬種だと言われています。しかし無駄吠えがやたら多い場合、何か理由があって吠えているんだということを理解してあげましょう。
「吠える」のは犬にとって意思表示であって「無駄」ではありません。人間が言葉でコミュニケーションをとるのと同じことですから、むやみに犬を叱らないであげて下さいね。
- 警戒しているから
- 怖いから
- 興奮しているから
- 寂しいから など
警戒からくる吠え癖の治し方
窓から見える人や訪問者を警戒して吠えることがあります。前提として、子犬の時期にはむやみに警戒をさせないような社会化の努力が一番大切です。
対策方法の例としては、以下が挙げられます。
状況 | 対策方法の例 |
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家の外にいる人に吠える |
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訪問者に吠える |
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家の外にいる人に吠える場合は、犬への刺激が強くなりすぎないよう上記のような方法で飼い主さんが環境を操作し、対策してあげるようにしましょう。
来客は子犬が社会化を学ぶ良い機会にもなります。訪問者に対して子犬が楽しい・良いイメージを持てるように学習してもらいましょう。
怖さからくる吠え癖の治し方
怖くて吠える時というのは、自分の身を守ろうとしていたり、嫌な体験がトラウマになっていたりする場合が多いです。あとは社会化不足による警戒心もあります。
状況 | 対策方法の例 |
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チャイムに吠える |
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掃除機に吠える |
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他の犬に吠える |
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興奮からくる吠え癖の治し方
興奮して吠える時というのは、嬉しくて大興奮している時です。例えば飼い主さんが帰宅した時に構ってほしくて吠えることがあります。
以下のような対応で「落ち着いていたら楽しいことが始まる」ということを教えましょう。
状況 | 対策方法の例 |
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飼い主が帰宅した時に吠える |
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寂しさからくる吠え癖の治し方
飼い主さんが買い物や仕事で外出している時、犬が寂しくて吠えることがあります。その場合、一時的な対策方法として飼い主のにおいがするタオルや毛布を与えてみるのもよいでしょう。
ただ、飼い主さんがずっとそばにいるわけにもいかないので、お留守番ができるようになると安心です。
お留守番のトレーニングは次のように進めていきましょう。
- 犬が快適に過ごせるサークルやケージを用意する。
- 飼い主さんのそばで、お気に入りのおもちゃで遊んでもらう。
- 慣れたら、犬がおもちゃで遊んでいる間に飼い主さんは少し離れる。
- 今度はサークルやケージの中で、おもちゃで遊んでもらう。
- だんだんと離れる距離や時間を増やしていく。
おもちゃは、子犬が自分だけで集中できる一人遊び用を選びましょう。
具体的には、中からフードが出てくる知育玩具や、嗅覚を使って宝探しのように遊べるノーズワークなどがおすすめです。
安全面もしっかり確認しながら、一人遊びの楽しさを教えていきましょう。甘噛みの対策にもつながります。
飼い主さんがしばらく離れていても必ず戻ってくるということを覚えてもらうと、犬は安心してお留守番ができるようになります。
かわいらしい姿や利口で人懐っこい性格から人気のトイプードル。
ただ、賢いだけに神経質なところもあり、警戒心や寂しさから吠え癖につながるケースもあります。
適切な時期に社会化を促し、散歩やお留守番など必要なトレーニングを実施していくようにしましょう。
トイプードルの愛らしい巻き毛は定期的なトリミングが望ましく、歯周病予防のためにデンタルケアも行っておきたいところ。
人が怖い、触られたくないといったトイプードルだと、こういったことも実施しにくくなります。
お世話になる施設や家庭でトラブルを起こさないためにも、上手にしつけを進めていきましょう。
しつけが思うようにいかないからといって、叩く、蹴る、はたくといった体罰のような行動は絶対にとらないで下さいね。自分がされたら嫌なことは動物にもしない。これがルールです。
トイプードルと良い関係を築くためにも、肩ひじを張らず、そして心を穏やかにしながらメリハリをもってしつけを行っていきましょう。