ドッグフードのトッピングや手作り食にも用いられることの多いキャベツ。何気なくキャベツを愛犬に食べさせている家庭も多いと思うのですが、与え方や量などは大丈夫でしょうか?
ここでは、犬にキャベツを与える際の注意点や食べるメリット、そして犬にキャベツを食べさせると食糞しなくなるその真相について解説していきたいと思います。
目次
犬はキャベツを食べても大丈夫!子犬やシニア犬も食べていいの?
まず結論から言うと、犬はキャベツを食べても問題はありません。
キャベツにはとくに中毒症状の出る成分等が含まれていないため、これが犬にキャベツを与えていい理由になります。
ただし、消化器官が未発達の子犬や、消化機能が低下している成犬・シニア犬にキャベツを与える際は、量やその与え方に注意しましょう。
詳しくは後述しますが、何も考えずにキャベツを犬に与えるのは好ましくありません。
また、キャベツはアレルギーの心配がほとんどない野菜です。しかし、稀にアブラナ科の野菜が合わない子もいますので、初めて食べさせる際は少量から様子を見るようにして下さい。
犬はキャベツを食べると食糞しなくなるって本当なの?
犬がキャベツを食べると食糞しなくなるのか?についてですが、これは必ずしも100%ではありませんが、可能性は大いにあると言えます。
その理由は、キャベツに含まれる食物繊維や酵素が腸内の善玉菌を増やす働きをしてくれるからです。
実際に人間の便でも、善玉菌が増えると便臭が軽減し、悪玉菌が増えると便臭が増減することが分かっています。これは犬の便においても同じことが言えるので、キャベツを食べることで善玉菌が増えて便臭が減り、結果、食糞防止にも役立つということが言えるのです。
ただし、キャベツを1回食べたからといって食糞が改善されるわけではありません。食糞対策ができるくらいにするには、1日5g程度の生キャベツを毎日食べ続ける必要があります。
食糞対策のためにキャベツを毎日食べさせ続けるくらいなら、まずはベースとなる食事の内容を見直し、なるべくすぐに便を始末する習慣をつけるなどの対策を考えた方が賢明です。
犬にキャベツを与える際に注意しておきたい5つのこと!
キャベツを与える量に注意する
キャベツには食物繊維がそれなりに含まれています。その含有量は100gあたり約1.8gで、これはレタスとほぼ同等の含有量になります。
程よくキャベツを食べさせることは便秘や胃もたれなどの解消にもなるからいいのですが、食べ過ぎるとお腹にガスが溜まったり、消化不良による下痢や嘔吐を引き起こすこともあるため注意しましょう。
1日に与えていいキャベツの量は、芯を除いた葉の部分を5gまでです。
生キャベツではなく茹でキャベツを与える
本当はキャベツを生のまま食べた方がキャベツの栄養素を生かせるのですが、茹でるなど加熱してから与えた方が犬も消化しやすく、消化器官に余計な負担をかけずに済みます。
また、刻んでから与えるとより消化しやすく、整腸作用などの効果を得られやすくなります。
胃腸の弱い犬にはキャベツの芯をなるべく与えない
キャベツの芯には「硝酸イオン」という成分が含まれています。
硝酸イオンは胃液の分泌が少ないと亜硝酸に変化する成分で、もともと胃腸が弱い犬などが摂取すると、メトヘモグロビン血症を生じて中毒症状を起こす危険性があります。
そのため、胃腸の機能が弱っている犬や消化器官が未発達な子犬にはキャベツの芯を与えない方が無難でしょう。
健康な犬ならさほど心配する必要はありませんが、犬の胃腸の状態は見た目だけでは分かりませんので、与える際はくれぐれも注意するようにして下さい。
シュウ酸カルシウム結石がある場合はキャベツを控える
キャベツには「シュウ酸」という成分も含まれています。
シュウ酸を含む量はほうれん草よりも約半分ではありませんが、シュウ酸カルシウム結石を抱えたことのある犬や、現在抱えている犬には念のためキャベツを控えるようにしましょう。
甲状腺異能低下症がある場合はキャベツを控える
キャベツやブロッコリー、ケールなどのアブラナ科野菜には「ゴイトリン」という成分が含まれています。
このゴイトリンは甲状腺ホルモンの合成を阻害することが報告されているため、一般的には甲状腺機能低下症の犬にキャベツを与えることは好ましくないとされています。(参考:Oregon State Univercity「アブラナ科の野菜」)
ところが、犬がキャベツを食べて甲状腺機能が低下したという臨床報告は今のとことありません。恐らく、甲状腺に影響を及ぼすくらい犬がキャベツを大量に食べることが非現実的であるというのが理由の1つだと考えられます。
ただし、甲状腺に何かしら問題を抱えている場合は必ずかかりつけの動物病院へ相談してから与えるようにして下さい。
【キャベツの栄養素】犬にはどんなメリットがあるの?
次に、キャベツの栄養素と犬にとってのメリットを紹介していきたいと思います。
キャベツには食物繊維が含まれている!
エネルギー | 23kcal | 灰分 | 0.5g |
水分 | 92.7g | 灰分飽和脂肪酸 | 0.02g |
タンパク質 | 1.3g | 不飽和脂肪酸 | 0.03g |
脂質 | 0.2g | コレステロール | 0 |
炭水化物 | 5.2g | 食物繊維 | 1.8g |
キャベツには食物繊維がそれなりに含まれています。含有量は野菜の中でも決して多い方ではありませんが、芽キャベツになると100gあたり5.5gと約3倍になります。
ふつうのキャベツなら食べ過ぎさえしなければ消化不良の心配はありませんが、芽キャベツは小さく食べやすいため、与え過ぎによる消化不良には十分注意しましょう。
キャベツはビタミンの宝庫!
カロテン | 710μg | ナイアシン | 0.9mg |
ビタミンE | 0.6mg | ビタミンB6 | 0.27mg |
ビタミンK | 150mg | 葉酸 | 240μg |
ビタミンB1 | 0.19mg | パントテン酸 | 0.76mg |
ビタミンB2 | 0.23mg | ビタミンC | 160mg |
キャベツはビタミン類の宝庫で、とくに血液と骨の健康に欠かせないビタミンK、免疫機能を促進するビタミンC、そして体の細胞の機能をサポートする葉酸が多く含まれています。
また、キャベツには「キャベジン」と呼ばれるビタミンUも豊富に含まれています。ビタミンUは胃腸の念悪を強化・保護したり、胃や十二指腸などに対する抗潰瘍作用もあるすごいビタミンなのです。
筋肉の強化に欠かせないカリウムが含まれている!
ナトリウム | 5mg | マグネシウム | 14mg |
カリウム | 200mg | リン | 27mg |
カルシウム | 43mg | 鉄 | 0.3mg |
キャベツ100gあたり約200mgのカリウムが含まれています。カリウムは摂取し過ぎると高カリウム血症を引き起こす恐れもあるため注意しなければなりませんが、適度に食べることで筋肉の強化や血流の改善が期待できます。
キャベツはとても栄養のある野菜ですが、だからと言ってキャベツをご飯代わりにしたり、肥満対策やダイエットにいいからとドライフードを減らしてキャベツを大量にトッピングした餌を与えるのは好ましくありません。
キャベツはあくまでもおやつ、もしくは総合栄養食や手作り食のトッピングとして活用するようのが望ましいです。キャベツが嫌いな犬に無理やり食べせる必要もありません。
まずはきちんと栄養のあるご飯を食べさせるようにし、その上でキャベツなどの野菜を上手に活用することが愛犬のためにもなります。