甘くて美味しいはちみつ!犬に与えても良いのか気になる方も多いでしょう。まずは結論から言うと、はちみつを犬に与えても基本的には問題ありません。しかし、安全に与えるには注意しておきたいポイントがいくつかあります。
そこで今回こちらでは、1日に与えても良い安全な量・具体的な与え方・注意点についてまとめてみました。
目次
健康的な成犬であれば少量のはちみつを与えても大丈夫!
特に持病などがない健康的な成犬であれば、はちみつを与えても大丈夫です。ただし、まだ免疫システム・消化機能が不安定である子犬に与えるのは止めておきましょう。
「人間の赤ちゃんは1歳まではちみつを与えてはいけない」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
これは腸内環境がまだ整っていない赤ちゃんの場合、はちみつに含まれている可能性があるボツリヌス菌をうまく排除できないためです。(※1)
犬に対する注意喚起はなされていませんが、やはりまだ抵抗力の弱い子犬には与えない方が良いでしょう。
健康的な成犬であれば、おやつやご褒美として適量のはちみつを与えることができます。
はちみつに含まれる主な栄養素と愛犬へのメリットを解説!
栄養素 | 期待できる効能 |
---|---|
ブドウ糖・果糖 | エネルギー補給 |
ポリフェノール | 抗酸化作用・アンチエイジング |
カリウム | 健康バランスサポート |
グルコン酸 | 腸内環境サポート |
ビタミンB1・B2 | 代謝サポート |
こちらでは、はちみつに含まれている主な栄養素を5つお伝えしていきます。犬にとっても嬉しい栄養素がたくさん含まれている事が分かったので、順番にチェックしていきましょう!
ブドウ糖・果糖【エネルギー補給】
はちみつの主成分は「ブドウ糖(グルコース)」や「果糖(フルクトース)」といった糖分になります。これらの糖分は食後約20分で体に吸収され、すばやくエネルギーに変換されるんです◎(※2)
また、ブドウ糖・果糖はこれ以上分解する必要がない「単糖類」になるので、犬の胃腸にも負担をかけにくいというメリットがあります。
疲れていて元気がない時・素早くエネルギーをチャージしたい時などに、はちみつが役立つこともあるでしょう。
ポリフェノール【抗酸化作用・アンチエイジング】
はちみつには強い抗酸化作用が期待できる「ポリフェノール」が含まれています。抗酸化作用とは、体の中で発生する悪い成分である活性酸素を取り除き、体の酸化を防ぐ働きのことです。(※3)
血管を若々しく保つサポートをしてくれるので、老化の防止にも繋がると言われています。(※4)愛犬にはいつまでもイキイキと過ごして欲しい!とお考えであれば、適度な摂取を心がけるのがおすすめです。
カリウム【健康バランスサポート】
はちみつ含まれるカリウムは、犬の健康をサポートする上で欠かせない栄養素です。ナトリウムを排出する・体液の浸透圧バランスを調整するといった働きをします。(※5)
ただ腎臓病・腎不全を患っている犬の場合は、カリウムを摂り過ぎることで「高カリウム血症」を引き起こす可能性も。
はちみつはカロリーが高く、1日に食べても良い摂取量はかなり少ないです。なのでよほどのことがない限り大丈夫かと思いますが、腎機能に不安がある場合は控えておく方が安全です。
グルコン酸【腸内環境サポート】
はちみつに含まれているグルコン酸は、腸内のビフィズス菌を増やす効能があると言われています。(※6)犬の腸内環境をサポートする効果が期待できるでしょう。
グルコン酸は殺菌効果に優れているのも大きな特徴。ねっとりとした質感と保湿力で皮膚や粘膜を守ってくれる力があるので、喉や口の炎症にも良いと言われています。
ビタミンB1・B2【代謝サポート】
はちみつにはエネルギー代謝に良いとされる、ビタミンB1・B2が含まれています。エネルギーの源となる糖質・脂質・タンパク質だけを摂取しても、ビタミンB群が不足していると代謝がスムーズに行われません。(※7)
はちみつのブドウ糖・果糖と相性が良いビタミンだと言えますね。愛犬のエネルギー代謝をサポートしたい場合は、意識しておきたい栄養素です。
犬が食べていいはちみつの量は?おすすめの与え方を写真付きで解説!
どれくらいの量ならはちみつを与えて良いの?という点は、一番気になるポイントだと思います。
こちらでは、犬の体重別で安全に食べられるはちみつの量をまとめてみました。どのように与えれば良いかについても、具体的な写真を使ってお伝えしていきますね!
【愛犬の大きさ別】1日のうちに食べても大丈夫なはちみつの上限量!
犬の体重 | 目安量 | 何杯 |
---|---|---|
1kg | 約3.4g | 小さじ約0.5杯 |
2kg | 約5.7g | 小さじ約0.8杯 |
3kg | 約7.7g | 小さじ約1.1杯 |
4kg | 約9.6g | 小さじ約1.4杯 |
5kg | 約11.3g | 小さじ約1.6杯 |
6kg | 約13g | 小さじ約1.9杯 |
8kg | 約16.2g | 小さじ約2.3杯 |
10kg | 約19.1g | 小さじ約2.7杯 |
12kg | 約21.9g | 大さじ約1杯 |
15kg | 約25.9g | 大さじ約1.2杯 |
20kg | 約32.1g | 大さじ約1.5杯 |
25kg | 約37.9g | 大さじ約1.7杯 |
30kg | 約43.5g | 大さじ約2杯 |
※はちみつ小さじ1杯は約7g・大さじ1杯は約22gとして算出。(※9)
※避妊・去勢済みの成犬という条件で、1日に必要なカロリー量の10%を算出。
はちみつは主食ではなく、あくまでも「おやつ」「ご褒美」といったカテゴリーに属します。1日に与えても良いおやつの量は、必要摂取カロリーの10%程度です。
上記の表では、犬の体重別で1日に必要な摂取カロリー量を計算し、はちみつだけをおやつとして与えるという想定で、1日に与えても良い上限量を算出しました。
こちらはあくまでも上限量なので、ギリギリまで与えなきゃいけないという事ではありません。
また、1日のうちにはちみつ以外におやつを与えることもあるかと思います。総合的なおやつ量を考えた上で、はちみつの量を調節してみて下さいね!
初めてはちみつを与える時は、まず少量から試してみることをおすすめします。花粉アレルギーに反応してしまったり、何かしらの理由ではちみつが体に合わない子もいるので、しっかりと見極めましょう。
はちみつをそのまま愛犬に与えて大丈夫!ヨーグルトとの組み合わせもおすすめ。
一番シンプルな与え方は、スプーンではちみつをそのまま与える方法です。ほんの少量与えたい場合でも、これなら気軽に準備できるかと思います◎
ドッグフードのトッピングとして与えてあげるのも良いでしょう。これだと、普段食べているドッグフードの匂いが混じるので、抵抗なく試せるというメリットがあります。
ヨーグルトが好きな愛犬には、はちみつを混ぜてあげるのもおすすめ!ヨーグルトを混ぜる場合は、必ず無糖のものを使って下さいね。
ちなみに、ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、腸内の善玉菌を増やしてくれます。そしてはちみつに含まれるオリゴ糖は、その善玉菌のエサになるんです。(※10)
結果として腸内環境の改善に繋がると言われています。
愛犬が粉薬・錠剤を嫌がる場合にはちみつが活躍する事も!
何らかの体調不良で愛犬に薬をあげるシーンもあるかと思います。ドッグフードに混ぜてみたけれど、うまいこと薬を避けてしまった……そんな時に役立つのがはちみつです!
粉薬であればそのままの状態でOK。錠剤の場合はこのような感じで細かく砕いてあげます。
粉薬or砕いた錠剤をはちみつに混ぜましょう。この状態だと問題なくペロリと完食する場合もあります。薬が苦手な愛犬に試してみる価値があるでしょう。
ちなみに、糖尿病の犬に与えるインスリン治療の薬とはちみつを混ぜるのはNGです。糖分の摂取量に厳しく指導が入るので、はちみつを自己判断で与えることは推奨されません。
それ以外であれば、特に組み合わせの悪い薬は無いと言われています。とは言え心配な場合は、はちみつと一緒に与えても良いのかを担当の獣医に聞いてみるのが良いでしょう。
基本的には「純粋はちみつ」を愛犬に与えるのがおすすめ!
はちみつは、純粋はちみつ・加糖はちみつ・精製はちみつといった3種類に分けることができます。
この中で安心して犬に与えられるのは「純粋はちみつ」です。水分含有量23%以下、果糖・ブドウ糖の含有量が合計で60g/100g以上など、厳しい品質基準を満たしています。
「加糖はちみつ」はコスト削減のために、水あめ・果糖・ショ糖(砂糖)などを足した加工品です。また「精製はちみつ」は、タンパク質やビタミン・ミネラル類を特殊な膜により除去した加工品になります。
どちらも本来のはちみつから加工されたものになるので、天然成分100%の「純粋はちみつ」と比べると犬に対する安全性が担保しづらくなるという事です。
【アレルギー・腎臓病など】はちみつを愛犬に与える時の注意点5つ!
- ボツリヌス菌中毒に気を付ける。
- 花粉アレルギーがある犬には与えない。
- 高カロリーなので与えすぎに注意する。
- はちみつの加工品に気を付ける。
- 腎臓病・腎不全を患っている場合は獣医に相談する。
続いては、はちみつを愛犬に与える際に気を付けておきたい注意点を5つお伝えしていきます。
ボツリヌス菌中毒に気を付ける。
はちみつには、「ボツリヌス菌」と呼ばれる細菌が含まれている可能性があります。市販のはちみつへに混入している可能性は低いと言われていますが、100%ではありません。
大人がボツリヌス菌を摂取してしまったとしても、他の腸内細菌との競争に負けてしまうので基本的には何も起こらないです。しかし、まだ腸内環境が整っていない赤ちゃんの場合、乳児ボツリヌス症にかかることがあります。(※1)
今のところ、犬がはちみつを食べてボツリヌス症にかかった事例は無いようです。しかし、腸内環境が未発達である1歳未満の子犬に与える事は止めておきましょう。また、菌への抵抗力が低下している高齢犬にも与えない方が無難です。
花粉アレルギーがある犬には与えない。
すでに花粉症を患っている愛犬に関しては、はちみつを食べることで花粉アレルギーに反応を示す場合があります。蜂は花や樹木から蜜を取ってくるため、花粉が混入している可能性を排除できません。
なので花粉症と分かっているのであれば、はちみつを与えない方が良いでしょう。また、今まで発症していなかったとしても、はちみつがきっかけとなってアレルギーが出ることもあります。
はちみつを初めて愛犬に与える時は、まず少量から試して様子を見ることが大事です。何か異変が起きたらすぐに与えるのを止めましょう。
高カロリーなので与えすぎに注意する。
約80%が糖分で成り立っているはちみつ!いくら白砂糖よりもカロリーが低いからといって、糖分であることに変わりはありません。
犬に与えても良い食物の中では高カロリーの部類に入るので、与えすぎないように気を付けましょう。
与えすぎると糖分過多になってしまって、肥満や糖尿病のリスクを上げてしまいます。色んな不調の元になるので注意が必要です。
はちみつの加工品に気を付ける。
はちみつレモン・はちみつパン・はちみつクッキーなど、人間用に加工された商品はたくさんあります。基本的にこういった人間用の加工食品は、犬に与えないようにしましょう。
特にはちみつレモンは、命に係わる危険性があるので絶対に与えてはいけません。レモンの皮に含まれている「ソラレン」は、犬にとって重大な健康被害を引き起こす可能性があります。
犬用のおやつとして売られているはちみつの加工品であれば、安心して食べられるでしょう。それ以外は与えない方が無難です。
腎臓病・腎不全を患っている場合は獣医に相談する。
はちみつにはカリウムという栄養素が含まれています。腎臓病・腎不全を患っている犬の場合、カリウムをうまく排出できない可能性があるんです。
場合によっては「高カリウム血症」を引き起こす場合もあるので、わざわざはちみつを与える必要はありません。
とは言え、犬それぞれ病状の重さの違いはあります。はちみつを与えたい場合は、大丈夫なのかどうかを担当の獣医に相談しましょう。
犬とはちみつに関するよくあるQ&A
最後に、犬にはちみつを与える事に関するよくあるQ&Aをお伝えしていきますね。
低血糖の犬にはちみつが良いって本当?
とは言え、あなたの愛犬が低血糖になっているかどうかを診断するのは獣医です。もし低血糖と診断された場合は、食生活に関するアドバイスをしっかりと聞きましょう。
犬にはちみつを与えたいけど、いつから(何歳から)食べていいの?
人間の赤ちゃんに関しては、「1歳を過ぎるまではちみつを与えてはいけない」という注意喚起が厚生労働省からなされています。
はちみつ入りのパンを犬に与えて大丈夫?
ただ犬用に加工されたものであれば、与えても問題ありません。はちみつ入りのパンを与えたい場合は、犬専用のものを選びましょう。
咳がある・気管虚脱の犬にはちみつが効果的って本当?
はちみつには殺菌作用・保湿作用があるので、喉の潤いをキープするのに良いと言われています。
しかし病状の違いは犬それぞれなので、プロの意見を聞くのが一番安全です。
老犬にはちみつを与えて大丈夫?
そういった場合、自己判断で与えることはおすすめできません。念のために与えないという選択をしても良いでしょうし、与えたい場合は必ず担当の獣医に相談をしましょう。
はちみつ梅干しって犬が食べても良いの?
与えたいはちみつ梅干しの塩分や糖分の濃度が明確に分かっていて、愛犬の栄養管理をしっかりと行えるという状況であれば、与えても問題はないでしょう。
ただ場合によっては塩分過多による中毒症状を起こしてしまう可能性もあるので、与える量はごく少量に抑えることが大切です。
愛犬が心臓病を患っています。はちみつを食べさせるのはNG?
犬によってそれぞれ病状の重さが違うので、はちみつを食べさせてみたい場合は必ず獣医に相談しましょう。
犬ははちみつを食べても大丈夫!与えすぎにだけ注意しましょう。
- 犬にはちみつを与えても大丈夫!
- 素早くエネルギーとして変換される。
- 腸内環境が整っていない子犬には与えない。
- 「おやつ」「ご褒美」として与える。必要摂取カロリーの10%以内で調節しよう。
- 天然成分100%である「純粋はちみつ」を選ぶ。
- ボツリヌス菌・花粉アレルギーに気を付ける。
- 持病がある場合は、はちみつを与える前に獣医に相談する。
適量であれば、はちみつを犬に与えても問題ありません。ただ抵抗力が弱い子犬に与えるのは止めておきましょう。愛犬に持病がある場合も、獣医に相談するのが安心です。
また、はちみつを与える量は1日に必要な摂取カロリーの10%以内に抑えましょう。はちみつはあくまでも「おやつ」「ご褒美」といった位置付けになります。
愛犬の健康をサポートするために一番大切なのは、主食であるドッグフードです!栄養のあるドッグフードで、愛犬の健康的なベースを作りましょう。
※1(ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。)厚生労働省
※2(はちみつの甘さと栄養成分)山田養蜂場 健康科学研究所
※3(はちみつ 成分情報)わかさの秘密|わかさ生活
※4(『ポリフェノール』とは?医学博士に聞く、体にもたらす効果と正しい摂取方法)LINK@TOYO|東洋大学
※5(カリウムの働きと1日の摂取量)健康長寿ネット|公益財団法人長寿科学振興財団
※6(はちみつについて)澤谷養蜂園
※7(ビタミンB群の働き、多く含まれる食品を紹介)森永製菓株式会社
※8(砂糖及び甘味類/(その他)/はちみつ)食品データベース|文部科学省
※9(はちみつのカロリー)簡単!栄養andカロリー計算
※10(ヨーグルト×はちみつがすごい! 健康への効果や食べ方について詳しく紹介します)ジャージーブラウン
RER(kcal)={ √ √(体重 × 体重 × 体重)}× 70
DER(kcal/日)=RER × 年齢・状態に応じた係数
給餌量(g/日)=DER ÷ フード100gあたりのカロリー数 ÷ 100