
愛犬のために正しい熱中症対策ができていますか?
私たち人間は快適な場所を見つけて自由に暑さをしのぐことができますが、行動範囲が限られている飼い犬はなかなかそれができません。
愛犬が熱中症にならないようにするためにも、必ず愛犬の立場になって過ごしやすい環境づくりを心がけましょう。
ここでは、犬が暑い時期を快適に暮らせる生活術をたっぷり紹介していきたいと思います。今日からすぐにできることばかりなので、ぜひ愛犬のために役立ててみて下さいね。
目次
犬が熱中症にならないためには温度に気をつける!
犬が熱中症になってしまう場合、ほとんどが室内の温度の上がり過ぎが原因です。犬の熱中症の発症率がもっとも高いのは家の中であることも分かっています。
中でも、日中家族みんなが留守にしていて、行動範囲が限られている犬ほど熱中症になりやすいです。これは外飼いの犬にも同じことが言えます。
実際に真夏の室内の温度を計ってみると分かるのでしょう。窓やドアを閉め切って冷房器具を一切使わない状態だと、室内の温度は軽く40℃を超えます。
さらに湿度が90%近くまで上昇することもあるため、まさにサウナに置かれている状態になってしまうのです。
犬にとっての快適な温度は?
犬にとっての快適な温度は、一般的に20~22℃と言われています。ただし犬種や健康状態によって快適に感じる温度は異なるため、ここで正確な数字を出すことはできません。
そして、これもすべての犬に当てはまるわけではありませんが、犬が快適に暮らせる部屋の温度の目安は26℃前後になります。湿度は50~60%くらいが丁度いいですね。
犬が「暑いな」と感じている時には以下の様子を見せるので、その時は愛犬にとって快適と感じる温度まで少し下げてあげましょう。
- パンティングしている(舌を出してハァハァしている)。
- 冷たい床の上で腹這いになっている。
- ぐったりしている。
人間にとって丁度いいと感じる温度が、犬にとっては不快に感じることもあります。必ず愛犬目線で快適な温度を保つようにすることが大切です。
どんな犬が熱中症になりやすいの?
熱中症はどんな犬にでも起こり得る病気ですが、とくになりやすい犬の特徴が以下の通りです。
- 体力のない犬(とくに子犬や高齢犬)
- 体温調節がうまくできない老犬
- 肥満気味な犬
- 短頭種の犬(パグ、シーズー、ペキニーズなど)
- 病気を抱えている犬(心臓病、腎不全、糖尿病、呼吸器系の病気など)
- 寒い地域に慣れている犬
これらの特徴のある犬は、他の犬よりも温度と湿度に敏感です。熱中症の発症率が増え始める4~5月にはしっかりと対策できる状態にしておきましょう。
犬の熱中症を予防するには?効果的な9つの対策方法!
犬が暑い時期を快適に乗り越えられるよう、熱中症対策に効果的な9つの方法を紹介します。
通気性を良くする
窓やドアを閉め切った真夏の部屋はまるでサウナのようです。
防犯や脱走防止のために完全に閉め切らなければならない場合もあるかと思いますが、室内を少しでも涼しくするためにも、可能な範囲で風の通り道をつくってあげましょう。
- 風が通り抜けられるよう2~3ヶ所の窓を開けて網戸にしておく。
- リビングなどのドアを開けてゲートを置く(脱走防止のために)。
- 換気扇を回しておく。
治安の面で窓を開けておくのが不安な場合は、防犯用の窓ストッパーを活用するのも1つの方法です。
エアコンを利用する
明らかに外が暑い場合、いくら風の通り道をつくっても室内の温度と湿度はグングン上がっていきます。
このような時はクーラーを活用し、室内を快適な温度に保ってあげましょう。
ただし、クーラーで冷やし過ぎると愛犬が体調を崩してしまいます。とくに寒い環境に慣れていない犬ほど体調を崩しやすいので、室温が20℃以下にならないよう気をつけて下さい。
愛犬の健康状態にもよりますが、クーラーの温度は25~27℃に設定することが望ましいです。扇風機の風を利用すると、冷気をまんべんなく循環させることができます。
扇風機や冷風機を利用する
クーラーでは室内が冷えすぎて心配…という場合は、扇風機や冷風機を利用してみましょう。湿度がそこまで高くない日は、扇風機などの風でも十分心地良いです。
使用する際は、扇風機や冷風機の風が愛犬の体に直接当たらないようにすることが大切です。とくにお腹の毛が薄い犬ほど、直接風が当たると体が冷えやすくなります。
外気温が室温より低い日は、窓を開けて外の空気を取り込みながら扇風機を回すと部屋全体に涼しい風が行き渡りますよ。
ひんやりグッズを利用する
暑い夏を快適に乗り越えるためにも、ふだん使っているマットやベッドを通気性の良い夏仕様のものに切り替えてあげましょう。最近はホームセンターでも手頃な値段で購入できます。
おすすめなのは、
- クールジェルが入ったマット
- い草を使ったマット
- ひんやり感のあるマットやベッド
- クールバンダナ
- クールウェア(風通しのいい服)
などですね。これらは通常のマットやベッドよりも通気性が良く、ひんやりしていて熱もこもりにくいので夏場は重宝します。
あと保冷剤を入れるタイプのクールバンダナは、お出かけの際にも使えて便利です。凍らせても固くならないシャーベット保冷剤を利用すれば、愛犬の首周りにも負担をかけません。
カーテンを閉めて直射日光を防ぐ
日光が直接入り込む窓のカーテンを閉めておくことで、室内の温度の上昇をかなり抑えられます。とくに南向きで日当たり良好の部屋は、日中カーテンを閉めておくのが効果的です。
カーテンを閉めると暗くなって嫌だという場合は、外にすだれやサンシェードを利用するといいでしょう。
カーペットやラグのないスペースをつくる
床全体にカーペットを敷き詰めていませんか?実は、カーペットの上に寝転がるのはかなり暑苦しいものです。
愛犬が少しでも快適にゴロンと横に慣れるよう、カーペットやラグのないスペースを敢えて少しつくっておくのもいいでしょう。
それが難しい場合は、先ほど紹介したひんやりグッズをカーペットの上で利用したり、張り替え自由なタイルマットに切り替えてみることをおすすめします。
水を数ヶ所に置いておく
真夏の室内では、熱中症以外に「熱射病」になってしまう犬も少なくありません。
熱射病は夏場の閉め切られた室内で起こりやすいです。重症になると舌の粘膜が青紫色になって脱水症状を起こし、嘔吐、下痢、血便、血尿などの症状も見られることもあります。
このような危険な状態を招かないようにするためにも、愛犬が水分をこまめに補給できるよう数ヵ所に新鮮な水を置いておきましょう。
散歩は早朝か夜にする
真夏の散歩で熱中症になる犬は少なくありません。私たち人間と地面からの距離が近い犬では体感温度がまったく異なるため、真夏の昼間にする散歩は犬にとって非常に危険です。
今日は暑くなるなと分かっているのであれば、涼しい早い朝の時間帯(5~6時)、または完全に日が沈んだ夜に散歩をするようにしましょう。
日が沈んだ時間帯に散歩をする場合でも、アスファルトが熱いこともあります。必ず飼い主さん自身の手で地面の温度を確かめ、その上で散歩をするようにしましょう。
車内でお留守番をさせない
暑い時期に、愛犬を車の中でお留守番させることは絶対にやめましょう。
夏場の車内の温度は50℃近くまで上がります。4~5月くらいの初夏でさえ、車内の温度が30℃を超える日があるので油断は禁物です。
「窓を開けておけば大丈夫では?」と思われがちですが、窓を開けても車内の温度は下がりません。また、エアコンのつけっぱなしは逆に体を冷をやし過ぎてしまう恐れがある上に、バッテリーが上がる可能性もあるので注意しましょう。
愛犬を車に乗せて移動しなければならない何かよほどの理由がない限り、できるだけ暑い時期のドライブなどは避けることも熱中症の予防へと繋がります。
犬が熱中症になってしまったらどんな症状が出るの?
犬が熱中症になると次のような症状を見せます。
- ぐったりして元気がない
- 舌を出して荒い呼吸をする(苦しそう)
- 体温が急激に上昇
- ヨダレを大量に垂らす
- 起き上がれない
- 足元がふらふらしている
- 目や口腔粘膜の充血
- 嘔吐や下痢をする
- 体が痙攣している
- 意識がない
嘔吐、下痢、痙攣、意識がないなどの症状が見られる場合は重度の熱中症です。獣医師に診てもらうのを待っていると命を落としかねないので、一刻も早い応急処置が必要となります。
応急処置については次より解説していきます。
犬が熱中症になった時にするべき応急処置は?
熱中症の犬をそのまま放置することは大変危険です。獣医師の対応をただ待っていると最悪死に至る場合もありますので、まずは飼い主さんが愛犬に応急処置を行いましょう。
涼しい場所へ移動する
外であれば日陰や風通しのいい場所、室内であれば空調のきいた涼しい場所へ移動します。
ドッグランで遊んでいる時やキャンプの最中に熱中症になってしまう犬が少なくありません。外にいる時間が長くなる時は、涼める場所が近くにあるか必ず確認しておくようにして下さい。
冷たいタオルや水で体の温度を下げる
水で濡らした冷たいタオルや水をかけるなどして愛犬の体を冷やしましょう。すぐに用意できるものであれば、保冷パックや冷えたペットボトルなどを活用して構いません。
- 首
- 脇の下
- 後ろ脚のつけ根
熱中症の症状を見せている時は、少しでも体温を下げるよう応急処置をすることが基本です。氷水は冷たすぎるので避けるようにして下さい。
少しでもいいから水を飲ませる
愛犬に意識があるようであれば、少しでもいいから冷たい水を飲ませるようにしましょう。
飲み物はできるだけ水が望ましいですが、なかなか飲まない場合は人間用のスポーツドリンクを水で3倍以上に薄めたものを飲ませたり、犬用のポカリスエット版「ペットスエット」を利用してみるといいかもしれません。
ただし、意識がない時に無理やり飲ませると水分が気管に入ってしまう恐れがあります。愛犬が自力で飲める場合に限り、水を飲ませるようにして下さい。
すぐに動物病院へ連れて行く
上記の応急処置を行いながら、すみやかに動物病院へ向かいましょう。事前に病院へ連絡をしておくと、すぐに診察してもらいやすくなります。
また、動物病院へ連れて行く間も愛犬の体を冷やしながら移動することが大切です。車の中も事前にエアコンで冷やしておきましょう。
犬の熱中症対策にいい食べ物ってあるの?
犬の熱中症対策を予防する食べ物というものはありませんが、夏の暑い時期を少しでも元気よく乗り越えるために活用しておきたい食べ物というものはあります。
それは、水分を多めに含んだ栄養のある食べ物です。たとえば、
- ウェットフード
- スイカ
- メロン
- トマト
- スープ(犬が食べてもいい食材を使ったスープ)
- ふやかしたドライフード
などがありますね。
ふだんドライフードだけを食べている場合は水分不足になりやすいですから、ぬるめのスープを入れてあげたり、スイカやメロンならおやつ代わりとして与えて適度に水分補給させてあげるといいでしょう。
ただし、水分の摂り過ぎは胃腸の不調へとつながります。夏バテしないよう水分を補うことは大切ですが、愛犬の健康状態や食事内容に合わせて量を調整するようにして下さい。
あとは、日頃から栄養バランスのいい食事を心がけるようにしましょう。
このような食事をしたからといって熱中症を防ぐことはできませんが、夏バテしにくい体づくり(=免疫力のある体づくり)をすることは可能です。
犬の熱中症も毎年のように発生しています。とくに室内、車内での熱中症が多いですね。
「うちは大丈夫」という油断が、愛犬を苦しめる結果を招くということを多くの飼い主さんに知っていただきたいです。
熱中症によるダメージが大きければ大きいほど死亡率が高くなるだけでなく、命を繋げたとしても後遺症が残ってしまうこともあります。それくらい熱中症は恐ろしい病気です。
犬の熱中症は、飼い主さんの意識次第で十分に予防することが可能です。予防をする意識を持って実行するだけで、愛犬が幸せに安心して暮らすことができます。
毎年4月頃から少しずつ熱中症対策を始められるよう準備をしておき、愛犬が暑い時期を快適に暮らせるよう気を引き締めていきましょう!